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マンガ家こいずみまり
超お久しぶりです、ナカムラです。多作で数々の雑誌でお見受けする作家こいずみまり、について取り上げたいと思います。

 彼女には「絵が致命的に下手・世間一般にブレイクしたのはムチャな低俗マンガ・作品に独自の空気を持つ」という特徴があります。
低俗マンガといえば西原理恵子ですが、僕はこいずみの出世作「コイズミ学習ブック」をただの『まあじゃんほうろおき』フォロワーのようなマンガと捉えていました。理由は絵が下手だし下品だから。しかし彼女の他の作品も読んでみたところ、この両者の共通項に気づきました。

 西原理恵子には強烈なクリエイターとしての源泉があります、高知の漁村での幼少
時代と不良の中高時代です(『ぼくんち』・『ゆんぼくん』・『晴れた日は学校を休んで』参照)。彼女はその体験や教訓を糧にしてストーリーを読ませる作品を仕上げていき、作品を積み重ねることで世界を洗練させていくマンガ職人でした。

さて、こいずみまりは限りなく西原的な漫画ウェイを歩んでいます。
1 ストーリーを進ませることのみに重点をおくスタイル
 絵にはあまりこだわらず、ただひたすらにストーリーを転がしていく。絵に労力を割かないしほとんど4コマで進行していく。
2 作品の中の空気感の確立
 おそらくエロマンガにありがちな多作ゆえの読者に与える心地よさと似ている。美大→広告系職種のコンボというデビュー前のキャリアの影響あるんでしょう。クリエイタ肌のふわふわした
性格の人が作中にやたら多い。

 この手の作家は限りなくブレイクしづらいのかもしれません。絵でグイグイ引っ張れるわけでもなく、ストーリーもきわめて単調だし地味。実際、両者とも世に出たのは実録モノ体当たりマンガなわけで自分の本当の戦場ではない。けれどもそのチャンスをモノにしたから彼女達の作品は人々の目にとめることに成功したのであり、ひとたび読者を引き込めば漫画はどんな形でも読まれるし評価されるってことを証明してるのではないでしょうか。

 そして彼女はまだまだ現役。
『CUT×OUT』では短編ながらも「1P=4コマ×2」パターンを捨て、コマ割りをフツーの漫画と同じにしてみようと試みているし、『LET IT BE』では上の2で挙げた彼女の得意分野もブチ壊し、桜小路さんという萌えキャラさえも作り上げてしまった。
長編『ジンクホワイト』は名義を変え、4コマとフツーマンガの融合を図っています。おそらく『健全恋愛ライフ』直系の漫画といえるでしょう。

 彼女の漫画は落ち着いた世界を描く新鮮味のない少女マンガのようなものかもしれません。でも彼女には作家としてどう転んでいくかわからない未知数の要素がある。僕としてはその過程を楽しみたいし、待てない人は一旦その存在を忘れて傑作が出るのを待っていてもらいたい。

 本当は作品ひとつをとりあげたかったのですけど、自分にそれを書ききるだけの経験
とかが僕にはなかったんでこんな形にしてしまいました。
次回は通常形式にもどさせていただきます。それではまた。

それでは。
(ナカムラ)

| ナカムラ | 13:40 | comments(0) | trackbacks(0) |
ORANGE    能田達規(秋田書店)
ナカムラです。よろしくおねがいしまーす。

今回僕が紹介するのは能田達規・『ORANGE』、チャンピオンで現在好評連載中の作品です。
作者の能田達規という人は『おまかせピース電器店』という、どうやら名作らしい ヒューマンドラマ作品を生み出した方のようです。
残念ながら僕はまだ読んでおりません。

さて、ではこの『ORANGE』ってどんな話かわかります?
実はこれサッカー漫画なんです。

内容は、
「四国の片田舎にある弱小お荷物サッカークラブ南予オレンジがF1昇格を目指してF2リーグ全34試合で上位2位になるために奮戦する」マンガです。サクセスストーリーです。
尚、あらすじの中でキャラクターの固有名詞を出す必要は全くありません。なぜならこの作品の本当の主役は「チーム」そのものだから。
この作品はチームとそれをとりまく選手・フロント・サポーターが話の核になっており、「メインキャラたちの成長→クラブが一流のプロフェッショナルへステップアップしていく→さらなる高み(昇格)を目指す」という流れで話は進んでいます。

 さて、このマンガはタイトルにサッカー用語を使わなかったりしてたりと、かなり意図的にサッカーマンガのセオリーを外しているんですね。例をいくつかあげると、

ひとつがプロのリーグ戦形式でであること。
 過去にプロリーグ戦を描いたアツイ漫画は
「ストッパー毒島」、「VIVA CALCIO」、例外として「ヒカルの碁 プロ試験編」
と、あんまりないんです。この中でサッカー漫画は「VIVA CALCIO」だけ。
基本的にスポーツマンガはKO方式のトーナメント、こっちのほうが少年漫画らしい構図を出しやすい。他にもリーグ形式を採用することによって派生する他との差異も
・引き分け」がある
・2回戦う必要がある
・負けても挽回のチャンスがある
というセオリーからいけばテンションを上げづらい要素にあえて挑んでいます。

ふたつに明確な1人称の主人公を置かないこと。
 一応若松ムサシという主人公は設定されていますが、彼の物語ではありません。
作中に彼が違うチームの中に加わって試合をするシーンが何度かあるんですけど、
そこは数ページで流してるんです。
最近のサッカー漫画は「日本代表」に主人公が加わり国内のライバルと力を合わせて
海外の更なる強敵を倒すというドラゴンボール「ラディッツ」方式を採用していますが
「ORANGE」ではそこで主人公は全く成長しません。数ページで終わります。

三つ目は観客がいること。
 僕はこの描写に完全にビビリました。  
作中に観客を出す必要がない他のサッカー漫画は限りなくこれをスルーしている。(おそらくモブシーンでの手間を考えてのチョイスなのだろうし、学生の試合にはあまり観客は必要ない。)
だけどこの作品においてはこれはチームが主人公であることを示す上で絶対に避けては通れない要素なのだ。
なぜなら背景の中の記号に過ぎない観客が「チームの成長」をあらわすキーなのだから。
チームが成長するってどういうこと?って疑問に思う人もいるだろう。
「強くなる」ことも大事な要素。
もうひとつが「プロフェッショナル」になるということ。それは社会に認められることだが、わかりやすく表現するためのギミックが「チームが弱く閑古鳥が鳴くスタジアム→チームが好成績を上げ徐々に人が集まりだす→満員になる」だろう。
試合中や試合後の観客をコマに表すことで読者に説得力を与えているけど、コマのほとんどにモヴをいれることはすさまじい労力だろう、恐れ入る。

 僕は実はサッカー見るの好き好き人間なのです。ホントはこういうサッカー好きにはたまらない小ネタ要素がたくさん盛り込まれてる漫画を紹介したくて連載中であるこの作品をチョイスさせていただきました。
この作者さんもJリーグのサンフレッチェ広島サポーターということらしいけど、それを聞いてこの作品の細部の凝り様に納得してしまいました。
(余談だが、某サッカー雑誌に作者のインタビューが掲載されていたがその内容で僕は「これは立派なオタクだな」と納得させられた。)

それに実はこの作品、サッカー観戦好きには「あー、こんなことあるある」と思わせてしまう小ネタが満載なのだ。
選手入場シーン、横断幕、「集中!」「プレス!!」とかしか叫ばなそうなオヤジ、遠方からやってきた敵サポーター、親子連れサポーターの何気ない会話とかね。
もちろんプレイ面での
ポストプレイヤーという特性をもったFW、
説得力のある主人公の能力
パス出さないでシュートばかり打つ外人
ゴールが入る経過
チームごとの流れの中での駆け引きなどなど。
エピソードとしても
学校のグランドを使うプロ、バスで敵地まで行く選手、全て実話です。
そういうサッカーオタクの共感を生ませる漫画は現在のところ稀有な存在だろう。

まぁまだ完結してないので残り5試合がおわったときにもう一回感想を書きたいです。
重刷もかかり好調のようで、嬉しい限り。 ただサッカー好きではない人間からの感想があまり聞こえないので、一般の方々への作品としてどう評価されてるのが気になります。昇格(この作品での目標)システムとか馴染みないと面白さを理解できるのかなぁ。
もしこのレビューを読んでから「ORANGE」を手にとった方は是非感想お願いします。試合そのものは五話分ほどでテンポ良く進むので、気軽に読めると思いますよ。

一回目はこんな感じでしたがどうだったでしょうか?
わりと恋愛や人間ドラマが多かったので、ちょっと流れを変えようとスポーツマンガに
トライしてみました。可愛げなくてすいません。

(ナカムラ)

| ナカムラ | 13:26 | comments(0) | trackbacks(0) |
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