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『風呂上がりの夜空に』小林じんこ(もしかすると絶版)
ここ経由でヘッポコ自サイトの掲示板にやって来てくださった強者がいたりして「ほほう、よみまんもなかなか使えるなぁ」とちょっと馬鹿にしていたよみまんに感心してしまったハリです。うす。以上、挨拶。
見てる人いるんですね、このレビュー。びっくりするぐらいアクセスないのに(ププ)
ちなみにその時は漫画喫茶のパソコンの前で春日光広の『ザ・サムライ』の続編の『サムライ刑事』という半年後には100円で売ってそうな新刊を読んでました。つまらねぇ。

反響といえば思ったより『ニナライカ』を読んでいる人がいたのに驚きました。さすがはマンガ読みが揃ってます。もっと誰も読んでいないのを発掘・紹介するのがオイラのお仕事。精進しなければ。
さて今回紹介するマイナー漫画はというと……。

『風呂上がりの夜空に』小林じんこ

この作品は名作なのだが、好き嫌いが別れるようで、今までも絶版→再販→絶版→再販という経緯を繰り返してる、ある意味、幻の作品。最後に出た新装版も絶版かも知れない。
ちなみに古本屋にいくと一番最初の版の(ヤンマガKCスペシャル)安いセットを多々見かけるので、読みたい人はこちらを捜して欲しい。
なぜ好き嫌いが別れるかというと実に単純な理由。
絵柄がどうにも古臭いのだ。80年代のよく言えばポップな、悪く言えば乱雑な少女漫画絵なのである。初期の岡崎京子のようである。一コマの情報量が多く、細かな音楽ネタ(タイトルがRCサクセションの名曲からとっているように80年代バンドブームの影響が強い)があちこちに散りばめてある。しかも写実的でもスタイリッシュでもなくヘタウマ系である。悪い言い方をするとそういう画面である。
読み手によっては数ページで断念してしまうこともある。80年代を感じさせるタイトルと内容であり、ある意味、そういった時代性を楽しむ漫画でもある。
しかし、そんな「一周回ってまた面白い」的な面白さがこの漫画の真価なわけではない。今、読んでも充分に新しいし、スリリングなのだ。実際、このレビューを書くために悪友と数年ぶりに読み返してみて、二人で「面白い!」と声を合わせて言ってしまったくらいに。
ストーリーは単純である。数年前にヒロインが怪我をしそうなところを救って傷を負った主人公が、高校入学をしてヒロインと再開するという、『愛と誠』のパロディのラブコメだ。この「もえ」というヒロインと辰吉という主人公(あらためて考えると二人ともファンキーな名前だ)のラブストーリーが主軸なわけだが、ここではそれは重要ではない。この漫画は粗筋を話してしまうとじつに平凡なラブコメでしかない。
この漫画の何が面白いか。それは物語が主軸から離れていく瞬間である。主人公たちの恋愛譚が主軸であるし、それによって物語は初めて動き出すのであるが、一コマの情報量が膨大なのと同様に、この漫画は膨大な横道にそれた物語で構成されているのである。こういうと、様々なタイプのサブキャラが大量に登場することによって、異なる嗜好の読者に支持される90年代的な、いわゆるキャラ萌え漫画を想像してしまうかも知れない。しかしそういった方法論をこのラブコメ漫画はとっていない。
こればっかりは読んでみて実感して欲しいのだが、この漫画は全く毛色が違う様々な一話完結の物語の集合体なのである。そしてその個別の物語を一本化しているのが主人公たちの恋愛譚なのだ。
本筋とは関係ない横道にそれた話ばかりで構成されたラブコメ漫画。これが『風呂上がりの夜空に』の正体だ。
しかも各話ごとに物語のギミックが異様に凝れられていて読み手を飽きさせない。複数の物語が同時進行する入れ子式の話や、数話にまたがる夢落ちの話、複雑に入り組んだスパイラルな話、全く主人公たちが出て来ない話など、様々な実験的な物語の集合体である。どんな漫画やアニメやドラマにも一話ぐらい「なんだかよく判らない話だったが、いつもと毛色が違って面白かった」という話があるだろう。あれが毎回になっているといったら、想像してもらえるだろうか。この文章を書くためにいくつかのレビューサイトをまわってみたが、「第××話が面白い」などという各話に絞ったレビューが多かった。確かにこの漫画の面白さについて語ろうとしたら細部について見つめるべきであり、全体についてとらえようとすると、難しいのかも知れない。非常にスキゾでポップな作品なのである。
スキゾフレニーなんて言葉を使って思い出すのはやっぱり80年代に流行った浅田彰の『逃走論』だろう。浅田彰は今後の文明はトータライズされた文明ではなく、瞬間を生きる逃走的な文明であると予言した。その予言が当たっているかはとにかくとして、そんな面でもこの漫画は80年代的なのだ。
さてこれも重要なことだが、トータライズされた物語、つまり主軸となる主人公たちの恋愛譚だが、ここも充分に面白い。まったとうな心理劇が展開する主軸の物語も目が離せないし、どこか切ない。このラブコメ漫画には90年代以降、恋愛漫画が失ったものがあるし、それ以前の恋愛漫画にはなかったものがある。これも時代性だろうか。

ところで現在、小林じんこという作家は結婚とかいろいろ理由があり、ほとんど「消えた」漫画家状態になってる。3年に1作というレベルだ。『りなことお兄ちゃん』が時々掲載されているらしいが、すでに1巻が絶版だ。果たして完結するのやら。


(ハリジャンぴらの)
| ハリジャンひらの | 13:25 | comments(0) | trackbacks(0) |
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