よみまん2020-11-04T15:33:54+09:00マンガについて語ろうぜJUGEM最近買った漫画とかhttp://yomiman.jugem.cc/?eid=182004-04-28T13:43:35+09:002004-07-26T18:03:59Z2004-04-28T04:43:35Zども。ここんとこ忙しくてなかなか更新できなかったのですよ(いいわけ) ぶって!僕をぶって! この豚が! 醜い豚が! ぶひい!(あいさつ)
というわけで改めましてドーモ。Naveです。わたくしめは月に漫画を20冊は買う漫画バカ
、もといバカ漫画なのですがね。...yomimannave
というわけで改めましてドーモ。Naveです。わたくしめは月に漫画を20冊は買う漫画バカ
、もといバカ漫画なのですがね。ここんとこ、一回買って一読したらもう読まない漫画がやたらと多い。僕の好みと世に出てる漫画が合わなくなってきてるのか、それとも俺に探す目がないのか。あるいは何度も読ませる力のある漫画が少なくなってきてるのか。そんなことないか。
あ、先日マスターキートンを読み返しました。ベタな意見ですがやっぱり面白いですね。一話一話とても丁寧にストーリーが練られていて味わい深い。高校時代に全巻揃えたこのシリーズ、どういうわけか一年に一度は何かの拍子に読み返すのですが、読み返すたびに感銘を受ける箇所が違う。未熟な時には気づかなかった所に感じ入るのですよ。これから、また5年くらいして改めて読み返すとまた違うんだろうな、と。いい漫画です、キートン。
最近買った漫画でとりあえず目についたモノ
ラブロマ(1)とよ田みのる アフタヌーンKC
僕はアフタヌーンを読まない人なので、書店で単行本を見かけるまではこの作品、ちっとも知りませんでした。発売日に書店で見かけ、一旦手に取り、絵を見て一旦は棚に返したのですが、やっぱり気になって清算前にこれも、と購入した本でした。何だかスルーできない何かがあったんだと思いますね。僕の場合、こういう予感を感じた漫画をハズしたことはありません。あ、コレ自慢ですよエヘヘ。
この作品、ほんのりラブコメディ。主人公とヒロインが異常にまっすぐで、それでいて思春期ならではの照れだとか、学生ならではの恋愛だとか。不器用だけどまっすぐで初々しい。読んでいて胸のすくような作品です。あまづっぱいですヨ。激オススメしておきます。
]]>スローニン (吉田 聡) 小学館(大都社)http://yomiman.jugem.cc/?eid=172004-04-28T13:43:11+09:002004-07-26T18:03:59Z2004-04-28T04:43:11Zなんだかエラく間を空けてしまいました。ごめんなさい。
今回ご紹介するのは吉田 聡の「スローニン」です。
吉田 聡といえば、古くは「湘南爆走族」近作では「荒くれKNIGHT」などで知られる作家ですが、「湘爆」から「荒くれ」の間にある作品について、あま...yomiman真縞
今回ご紹介するのは吉田 聡の「スローニン」です。
吉田 聡といえば、古くは「湘南爆走族」近作では「荒くれKNIGHT」などで知られる作家ですが、「湘爆」から「荒くれ」の間にある作品について、あまり多くを語られていないような気がします。
そこで取り上げたのが「スローニン」なんですが、この作品は「湘爆」終了後しばらく経ってからビックコミックスピリッツに連載されました。初の青年誌連載です。
僕は吉田 聡のベストを挙げろと言われたら迷わずにこれを挙げます。それほど僕にとって思い入れの深い作品です。
主な登場人物は、元甲子園球児で、現在大学2浪中の「ラッキュー」こと諏訪 大吉、そして元超高校級ラガーマンで、現在何でも屋として放浪中の「コッセツ」こと武藤 兵庫、この二人を軸としてお話が展開してゆきます。
ある日チンピラにカラまれているラッキューのピンチを、ふとしたきっかけでコッセツが救ったところからお話は始まります。
何時の間にやらラッキューの下宿先に居候して何でも屋稼業を始めるコッセツ。浪人生であるラッキューは当然イイ顔をしませんが、持ち前の人の良さからついついコッセツの手伝いをするハメになります。
ところで二人の珍妙なあだ名についてですが、ラッキューとは落球の事で、甲子園決勝戦において、ライトフライを落球し、逆転負けを喫してしまったが故に付けられた不名誉なあだ名です。
同じくコッセツも、ゴールに向けてトライを決める直前に敵チームのディフェンスを何人も引きずったままゴールポストに激突してしまい、体中を複雑骨折してしまった為に付いたあだ名です。
この二人に共通していることは、あと一歩という所で栄光を攫めず、不完全燃焼のまま十代を終えてしまったという所です。この報われない十代という設定は今までの吉田漫画には無かったもので、「湘爆」以後の「物語」を積極的に書いて行こうという作者の意気込みの感じることが出来ます。
「湘爆」のように学校というある意味守られた空間ではなく、高校を卒業した後も辛い過去に囚われたまま二十歳になってしまった、そんな登場人物達の焦りと足掻きを吉田 聡は「スローニン」で描こうとしたのです。
ラッキューもコッセツも不器用な若者です。相手に気持ちを上手く伝えられない、解って貰おうと一生懸命になっても、思春期特有の妙なプライドが邪魔をしたり、向こうから折れてくれることを期待してしまいます。この「不器用さ」というものを描くことが吉田 聡は天才的に上手いです。男同士の不器用な友情を描かせたらこの人が一番だと思います。
「スローニン」とは結局、報われない十代を過ごし、今でもなお足掻いている人達全ての総称でもあります。今の時代でしたらモラトリアムと言う便利な言葉がありますが、スローニンにはモラトリアムという言葉に漂う諦めの感情がありません。もっと積極的な、理想としている自分に一歩でも近づきたいという前向きさを感じます。
個人的に反吐が出るほど嫌いな言葉に「自分探し」というモノがあるのですが、ラッキューもコッセツも本当は自分の理想は自分の中にしか無いということを知っているのです。二人ともきっかけを見つけた後はもう迷いません。ラスト近くに、コッセツが浜辺に大きく「さよなら」と書いて海に流した後、今度は「オレはここだ!」と書く場面があるのですが、これなどはその代表と言えるでしょう。
もう一つ特筆するべき事として、この作品には「夏」が大きく取り上げられています。
夏のうだる様な暑さと、眩しい日差し、道の先で霞む蜃気楼など、どんな季節に読もうとも、読み手に強く夏をイメージさせます。これは「スローニン」のもう一つの持ち味として印象を残します。
僕がこの漫画を初めて読んだのはもう十年も昔のことですが、何度読み返しても変わらない夏の匂いを感じます。十代の頃よりも時間が経過している分、突き放した目で読めるかと思ったのですが、二十代も終わりに近い今現在の方が感慨深かったです。オッサンになったといえばそれまでですが。
もし、僕のこんなレビューでこの漫画を読んでみようと思ってくださったなら、一度全部読んだあと、何年か経ってから読み返してみてください。思い出はたとえそれがどんなものであれ熟成し深みを増して行くものだ、ということが解ります。
誰にでも十代という特別な時期があって、その中で得たものは重い荷物となってその後の人生に圧し掛かってきます。当時は投げ捨てたくなるような荷物でも、時が経つにつれほろ苦い懐かしさを感じるようになります。不思議ですね。
十年経った今読み返してみても、ラッキューはラッキューで、コッセツも相変わらずでした。当たり前なんですけど。でも、この変わりなさが逆に「スローニン」を古びさせずに残しているのです。まるで十年来の友達にあったような気持ちでした。
もうじき夏が終わります。一年の内でちょうど今が旬の漫画です。宜しければ、是非。
来年から少しだけ夏が待ち遠しくなること請け合いです。
(真縞)
]]>久々更新ごめんなさい。ってなわけで最近買った漫画スペサル第一弾http://yomiman.jugem.cc/?eid=162004-04-28T13:42:25+09:002004-07-26T18:03:59Z2004-04-28T04:42:25Z毎度、Naveです。最近忙しくてとんと更新してませんでした。すんませんすんません。
ちう訳で、マトモな更新はもうちと先になりますがとりあえず最近買ったマンガの感想などをつらつらとイキます。
オメェの買ったマンガのことなんか知らねーヨ!とか言わずにお付き合い...yomimannave
ちう訳で、マトモな更新はもうちと先になりますがとりあえず最近買ったマンガの感想などをつらつらとイキます。
オメェの買ったマンガのことなんか知らねーヨ!とか言わずにお付き合いくださいな。
恋風(3) 吉田基己 小学館
世に数多くあるオニイチャンブームに乗っかった萌えマンガの中でも格別のこの作品。実の妹と実に微妙な関係になってしまった兄の苦悩を描く作品。基本的にそこから来る葛藤描写がウジウジウジウジと続くストーリーなのですが、今巻ではついにアクションが!
そこまで大好きな作品、というわけではないのですが、主人公の妹、七香ちゃんがもう、オメェはファンタジーなのかよってくらいにかわいいのですな。実際いないけど、こんな子。
空談師(3) 篠房六郎 小学館
ネットゲームの世界を、語り手を介さずにプレイヤーの視点から描いている作品。このマンガ何が面白いかというと、それはズバリ「ネットゲームという、世界観の大前提がありながら、そこに出てくるキャラクターはあくまでそのファンタジー世界の住人であるかのように振舞っている」ということ。現実側の視点、というものが殆ど排除されたストーリーテリングにあります。
しかし生憎、今巻で最終巻。しかもなんか打ち切りっぽいのですが、今までになかったお話の綴り方を見せてくれただけでも価値のある作品だなぁ、と。
あと、この人画力が高いです。絵でまず惹かれましたね。別の作品でエロギャグマンガも描いているのですが、そちらの方も画力とギャグのハイブロウさが相俟ってなかなか。オススメ(エロマンガの方が)
ラブやん(2) 田丸浩史 小学館
毎度お馴染み、僕rの大好きな田丸先生の新刊ですよ。1巻1コマ目で主人公がチンコ握っているというエポックメイキング(エー な作風は相変わらずパワーダウンを見せません。ただ、月刊のペースで描き慣れてきたのか、波がなくなってきたように思えました。いや、面白いんですよ確かに。でも、以前のようにクソ面白すぎる回とかうーん、今回は・・・みたいな回とかのムラがなくなってきた、というか。
いや、月一で田丸作品が読める幸せを考えれば贅沢は言うべきじゃないのかもしれないですけど。ただ、ちょっと落ち着きが垣間見えて少し寂しくなりました。
・・・いや、このレベルで落ちついてる、と感じる感覚の方が異常なのかも。慣れってのは恐ろしいものですな。
放浪息子(1) 志村貴子 エンターブレイン
コミックビーム連載中、志村貴子の新作。以前にここでも紹介した敷居の住人の作者ですな。今回は性同一性障害の話・・・なのか? そんな大仰なものではないのかな。とある日、女装した自分に妙なトキメキを覚えてしまった少年と、同じ感覚を共有する少女の物語。
まだ一巻なので、これからどういう方向に話が転がっていくのか見当もつきませんが、じっくり見守っていきたい作品。幸いにも、連載誌のビームは作家を育てる雑誌なのでゆうっくりやらせてくれることでしょう。祈るべくは、ビームなくなんないで!って事ですな。みんな買え! いい作家集めるのがうまい雑誌ですよ、ビーム。
どきどき姉弟ライフ(4) 後藤羽矢子 竹書房
前述の恋風と同様、近親恋愛モノ。最近やたら多いね、このジャンル。いや、俺の目にとまりやすいだけか? 自分で気がついてないだけでこのジャンル好きなのかしらん。
そういえば、昔岡野史佳の37℃(白泉社)も好きだったなぁ。
しかし、この作品は前述のシリアスな近親恋愛モノとはちょっと違い、あくまでコメディタッチに明るく話が展開していきます。実はこの4巻でストーリーのメインストリームは完結を迎えているのですが、作品自体はまだ続いています。人気あるみたいですな。
作風がすごくほのぼのしてるので、読んでて和む(この言葉キライですが)作品です。
さくら咲いちゃえ 私屋カヲル 白泉社
昔、少女コミックで「少年三白眼」や「夜明けのヨワッキー」、「おネコさまが来た」などを描いてた少女ギャグマンガ家・私屋カヲルの作品。最近は活躍の舞台を青年誌に移しているようで、内容もなんだかエロいです。しかし、そのチョイエロ(ちょいどころじゃないけど)加減が、昔の月刊ジャンプを彷彿とさせてくれてよいですね。
実は僕チョイエロ漫画が好きでして。この作家の最近の作品では「青春ビンタ」は巻を追うごとにエスカレートしていって読んでて楽しいです。
個人的に、モロエロ描写を避けて、微妙なニュアンスとか描写で中学生の下半身を充血させるチョイエロの技術はスゲエと思ってたり。
あ、でもこの「さくら咲いちゃえ」はあんまり面白くなかったかなぁ、と。あまりにパターンにはまりすぎてて意外性がなかったです。ま、パターンはパターンで悪くないですけど。
戦争まんが傑作選(1)(仮) 望月三起也 ぶんか社
ワイルド以前の望月三起也の漫画が復刊! これだけでスゲエ。中身はというと、若い頃の作品ということと、漫画がホントに子供のためのものだった時代の作品が多い、ということもあって…な感じだったんですが…。まぁ、資料的価値ってことで購入。
ワイルド7愛蔵版(11,12) 望月三起也 実業之日本社
初期ワイルド、ついに全巻復刊。実は僕も初めて最後まで読みました。最終巻に漂う悲壮感と、全てが終わった後のあっさりな終わり方はやっぱワイルドだなぁ、と。
最後まで読んでしまったのが残念でもあり、うれしくもあり。ワイルドに関してはこないだ書いたのでこのくらいで。
パジャマでごろん(3)完 ささだあすか 白泉社
ささだあすかの新刊、待ち望んでました。この人、僕は少女漫画部門ではブッちぎりトップで好きな作家です。作風に派手さはありませんが、日常の中でじんわりと嬉しくなるような物語を綴る事が上手な人ですね。
思い返せばささだあすかの作品と出会ったのは僕がまだ高校生の頃でした。従姉妹んちに偶然あったララを斜め読みしてた時にデビュー作の読みきりを見つけ、優しい絵柄とぐっとくるようなストーリーにやられてしまった、と。この人の作品に関しては今度本番のよみまんで取り上げようと思っています。
…でも、好きな作品のレビューって書くの難しいんですよね。なかなかまとまらず。
てなわけで、まだまだ買った漫画の半分にも満たないわけですが、とりあえずここまで。
ちなみに今会社帰りの電車の中だったりします。なんだか忙しくて嫌ですねー、っと。
]]>岸和田博士の科学的愛情 (トニーたけざき) 全12巻 講談社http://yomiman.jugem.cc/?eid=152004-04-28T13:41:59+09:002004-07-26T18:03:59Z2004-04-28T04:41:59Z 素晴しきよみまん来訪者の皆様、真縞でございます。このクソ暑い日々如何お過ごしでしょうか?
今回皆様にご紹介させて頂く漫画はSFギャグというすこしふしぎなスメル満載の漫画なワケですが…SF…さいえんすふぃくしょん…すこしふしぎ、そしてギャグ。
...yomiman真縞
今回皆様にご紹介させて頂く漫画はSFギャグというすこしふしぎなスメル満載の漫画なワケですが…SF…さいえんすふぃくしょん…すこしふしぎ、そしてギャグ。
毎度のことですが、僕の拙い文章で全てを伝えきれるワケも無いので、もう今回は今まで以上にイキオイだけで突っ走ります。首都高逆走ばりに。
主人公は自称「科学という名の悪魔に魂を売った」岸和田博士という怪人物です。
IQ375の超天才的頭脳を有し、毎度毎度役に立つのか立たンのか良く解らん発明をしては周囲の迷惑も考えずに暴走しまくり、挙句の果てにはなんとなく結果オーライで終わらせるというのがお話の基本パターンです。
一応お話は連続しているのですが、単発モノのお話も(特に初期は)多いので、イキナリスッ飛ばして読み始める事も可能です。
一応博士は国防庁の嘱託のような立場ですので、この青く美しい僕らの地球を狙い来る様々な侵略者たちと戦いを繰り広げたりもするのですが。
ところで皆様、質問タイムです。汎用人型決戦兵器、平たく言うところの戦闘ロボットという言葉から、皆様はどのようなモノを想像されるでしょうか。
僕の大胆な予想で言うと、九割方の人がガンダムやらエヴァやらキングゲイナーやら、まあそういったモノを思い浮かべられるかと思うのですが。
しかし、この漫画においてそのような常識は一切通じません。で、どのような人型兵器が登場するのかと言うと、もうまんま人間。人間をそのまんまバカデカくしてパンツ一丁穿かせただけのシロモノ。身長57メートル体重550トン、巨体が唸れば空飛ぶぞ、その名も山野田F−91(後に大破して山野田・ザ・グレートへと生まれ変わる)!!
…えー、わたくしの稚拙な表現能力を抜きにしても、皆様、理解の範疇内でしょうか。
このロボ、細部に至るまでめっさリアルで、ワキ毛・スネ毛はおろか鼻クソやら×××やらこれでもかこれでもかと言わんばかりに再現されております。しかもそれらが全て武器として使用可能なのですよ。今まで数多くの先達が積み上げてきた人型兵器の概念を根底から覆す、というか誰も考えなかったと言うか。ちなみに対人用ミサイルも人型です。
再び想像してみて下さい、そんな人型兵器がワキ毛やら鼻クソやらを撃ち合うシーンを。
痛快ですか?それとも悪趣味でしょうか。多分どちらも正しいです。真実は常にひとつですが、正解はひとつではないのです。そろそろ自分でもワケ解らなくなってきました。
まー主な敵としては、冷戦状態の続く某大国、人類と違い牛から進化し後に海底王国を築いたモー帝国の皆さん、名も知らぬ星雲のこれまた名も知れぬ星からワザワザ出張して来る宇宙人さんといったお約束な方々、そして助手の安川君をベースとして作られたものの、自我に目覚め、造物主である博士に叛旗を翻した安川2号などなど、中から外から様々な所から敵は出現し、その度に博士は律儀に撃退してゆきます。周囲に被害を及ぼさぬコト無く。
孤高の天才科学者である博士ですが、何故か彼を慕う者は多く、助手勤続暦25年のチャーリー安川君、お色気担当(助手?)白鳥ぱる子、美人天才助手に憧れるジェニファー(本名、大山田花子)などが博士の助手(実験材料とも言う)として主な被害を被るワケなのですが。
他にも、国防庁責任者大塚長官、何故かアメリカ人なのに日本国防庁秘書をやっているミス・メロンなども犠牲者として時にフィジカルに、もしくはメンタル的羞恥プレーイをやらされたりします。
特に大塚長官は博士の罪をおっ被せられて岩窟王かアルカトラズかというような孤島のム所に鉄仮面装着で収容されたり(後に脱走しますが)、己のクローンと対決するハメになったり、またそのクローンと分子レベルで結合したりと実に多忙です。普通の人生では出来ない体験ですね、おめでとう!
ハッキリ言って、大まかな粗筋はこんなトコです。てゆうか、こンだけ知ってれば十分です、オツリがきます。これでいいのだ。
大事な事は、この漫画全編を貫くパゥワー、それをあるがままに受け止めるコトです。
人生、時には無抵抗主義であることも大切なコトです。
漫画というものは、特にギャグ漫画というものは個人の感性に大きく働きかける所が多く、ゆえに万人ウケするギャグ漫画などは決して描けるものではない、というのが僕の今思いついた持論ですが、この『岸和田博士〜』は特にその傾向が顕著に現れています。ですが、たとえ読者から嫌われようと疎まれようと己が道を突っ走る、そういった気概がこの漫画には溢れかえっております。このレビューを書く為に約5〜6年振りに読み返したのですが、変わらないパゥワーを感じてわたくし、軽くトリップ致しました。
さあ皆様、長い人生のほんの数日間を棒に振る覚悟完了したならば、全力で一気読みしてみて下さい。今までとはモノの見方が変わります。多分。
(真縞) ]]>「天使みたい」「白い花 紅い華」山下和美/集英社http://yomiman.jugem.cc/?eid=142004-04-28T13:41:25+09:002004-07-26T18:03:59Z2004-04-28T04:41:25Zご無沙汰のももです。
今回は、「柳沢教授」でおなじみの山下和美の最新刊を紹介することにしました。
この2冊は「ガールフレンズ」というシリーズの1、2巻という扱いになっている、
その名のとおり女同士の関係を中心にした短編集。
人間ドラマを描かせたら、や...yomimanもも
今回は、「柳沢教授」でおなじみの山下和美の最新刊を紹介することにしました。
この2冊は「ガールフレンズ」というシリーズの1、2巻という扱いになっている、
その名のとおり女同士の関係を中心にした短編集。
人間ドラマを描かせたら、やっぱり上手いですよー、このヒトは!
表題作「天使みたい」は双子の女の子のうちの一人が幼くして亡くなってしまい、
科学者の両親が、身代わりのアンドロイドを作製する…
といったあたりは、全く目新しさはないのだけど、
主人公はるかが少女から成長していく過程と、「半身」かなたの「性能」が進歩していく過程のもどかしい絡み具合がなんともいいかんじ。
ラストにむかっても、ここで終わったら結構ふつうの話だよなー、と思うところでは
やっぱり終わらないので嬉しいかぎり。
読んでもらいたくて書いてるので、あえて詳しく書きませんが、映画で見たいかんじです。
でも、これ原作で今ドラマやってんだよねー。
NHK教育でやってるので、あまり期待できないと思って見てませんが。
やるならちゃんとお金かけてやって欲しいです(笑)。
「天使みたい」にしか触れてないですが、全ての短編が完成度高いです。
女の子ってかわいい。女ってこわい。そんなかんじ。
それから、
女同士って、友情というにはきわどい感じのシーンがまれにあるもんです。
男にはわかるまい。
(もも)]]>12色物語 (坂口 尚) 全1巻 講談社漫画文庫http://yomiman.jugem.cc/?eid=132004-04-28T13:41:01+09:002004-07-26T18:03:59Z2004-04-28T04:41:01Z 皆様こんにちは、真縞です。新人なので憶えて頂くのに必死です。
今回ご紹介する漫画は坂口 尚の「12色物語」という短編集です。
坂口 尚というと、「石の花」「VERSION」「あっかんべェ一休」など、俗に言う長編三部作や、アニメ作品の「火の鳥2772」(こ...yomiman真縞
今回ご紹介する漫画は坂口 尚の「12色物語」という短編集です。
坂口 尚というと、「石の花」「VERSION」「あっかんべェ一休」など、俗に言う長編三部作や、アニメ作品の「火の鳥2772」(この人は手塚治虫の虫プロに所属していました)など優れた作品を遺している作家ですが、今回は長編やアニメといった時間のかかる作品ではなく、取っ付きやすく読みやすい短編集をチョイスしてみました。
タイトルの12色という言葉が示す通り、それぞれ12の短編に12のイメージとなる色が設定されています。というよりも、まず一つの色から思い起こされるイメージを膨らませて話に仕立て上げたと考えるのが正しいようです。
たとえば白。白から想像できるイメージは無数にありますが、ここでは雪の色、北国のサーカス一座に流れ着いた孤高のヴァイオリニストのお話。話が展開するにつれ、純白のイメージ「高潔さ」についても言及されて行きます。
こんな風に12色のストーリーは時に明るい、時に厳しい世界を垣間見せてくれます。
そのどれもがハッピーエンドと言う訳ではありません。かといって、残る読後感が苦い物かと言うと、決してそのようなことは無く、むしろ満足感の方が大きい筈です。
坂口 尚という作家は人間を徹底的に見つめ続けた人です。表面上の部分だけでは無く、月並みですが心の奥底まで。その結果、坂口作品は常に読者に対して何かを問いかける作品となっています。しかし、読者はそのことについて常に意識させられる訳ではありません。
あくまでも軽いものは軽く、重くする時は徹底的に。坂口作品の根底には常に人間への優しさと厳しさが同時に流れており、この短編集一冊を読むだけでもその事は伝わってきます。常に何か訴えるべきことはあるのだけれど、読者にまず読ませることを忘れません。エンターテイメントとメッセージの両立、これは実に稀有な才能だと思います。
残念なことに、坂口 尚は1995年12月に49歳という若さで亡くなりました。
多くの作品を遺した訳ではありませんが、それでも一つ一つの作品に込められた情熱は師である手塚にもけして劣らぬものであったと思います。
(真縞)]]>マンガ家こいずみまりhttp://yomiman.jugem.cc/?eid=122004-04-28T13:40:37+09:002004-07-26T18:03:59Z2004-04-28T04:40:37Z超お久しぶりです、ナカムラです。多作で数々の雑誌でお見受けする作家こいずみまり、について取り上げたいと思います。
彼女には「絵が致命的に下手・世間一般にブレイクしたのはムチャな低俗マンガ・作品に独自の空気を持つ」という特徴があります。
低俗マンガと...yomimanナカムラ
彼女には「絵が致命的に下手・世間一般にブレイクしたのはムチャな低俗マンガ・作品に独自の空気を持つ」という特徴があります。
低俗マンガといえば西原理恵子ですが、僕はこいずみの出世作「コイズミ学習ブック」をただの『まあじゃんほうろおき』フォロワーのようなマンガと捉えていました。理由は絵が下手だし下品だから。しかし彼女の他の作品も読んでみたところ、この両者の共通項に気づきました。
西原理恵子には強烈なクリエイターとしての源泉があります、高知の漁村での幼少
時代と不良の中高時代です(『ぼくんち』・『ゆんぼくん』・『晴れた日は学校を休んで』参照)。彼女はその体験や教訓を糧にしてストーリーを読ませる作品を仕上げていき、作品を積み重ねることで世界を洗練させていくマンガ職人でした。
さて、こいずみまりは限りなく西原的な漫画ウェイを歩んでいます。
1 ストーリーを進ませることのみに重点をおくスタイル
絵にはあまりこだわらず、ただひたすらにストーリーを転がしていく。絵に労力を割かないしほとんど4コマで進行していく。
2 作品の中の空気感の確立
おそらくエロマンガにありがちな多作ゆえの読者に与える心地よさと似ている。美大→広告系職種のコンボというデビュー前のキャリアの影響あるんでしょう。クリエイタ肌のふわふわした
性格の人が作中にやたら多い。
この手の作家は限りなくブレイクしづらいのかもしれません。絵でグイグイ引っ張れるわけでもなく、ストーリーもきわめて単調だし地味。実際、両者とも世に出たのは実録モノ体当たりマンガなわけで自分の本当の戦場ではない。けれどもそのチャンスをモノにしたから彼女達の作品は人々の目にとめることに成功したのであり、ひとたび読者を引き込めば漫画はどんな形でも読まれるし評価されるってことを証明してるのではないでしょうか。
そして彼女はまだまだ現役。
『CUT×OUT』では短編ながらも「1P=4コマ×2」パターンを捨て、コマ割りをフツーの漫画と同じにしてみようと試みているし、『LET IT BE』では上の2で挙げた彼女の得意分野もブチ壊し、桜小路さんという萌えキャラさえも作り上げてしまった。
長編『ジンクホワイト』は名義を変え、4コマとフツーマンガの融合を図っています。おそらく『健全恋愛ライフ』直系の漫画といえるでしょう。
彼女の漫画は落ち着いた世界を描く新鮮味のない少女マンガのようなものかもしれません。でも彼女には作家としてどう転んでいくかわからない未知数の要素がある。僕としてはその過程を楽しみたいし、待てない人は一旦その存在を忘れて傑作が出るのを待っていてもらいたい。
本当は作品ひとつをとりあげたかったのですけど、自分にそれを書ききるだけの経験
とかが僕にはなかったんでこんな形にしてしまいました。
次回は通常形式にもどさせていただきます。それではまた。
それでは。
(ナカムラ)
]]>覚悟のススメ(山口 貴由) 全11巻 秋田書店http://yomiman.jugem.cc/?eid=102004-04-28T13:27:54+09:002004-07-26T18:03:59Z2004-04-28T04:27:54Z 皆様初めまして。主な睡眠場所は電車の中という眠るダメ人間、真縞 静時と申します。
この度、縁あってこの素晴しきよみまんメンバーの末席に加えて頂く運びとなりました。まだまだ他の先輩方の足元にも及びませんが、今後とも宜しくお願いします。
さて、ご...yomiman真縞
この度、縁あってこの素晴しきよみまんメンバーの末席に加えて頂く運びとなりました。まだまだ他の先輩方の足元にも及びませんが、今後とも宜しくお願いします。
さて、ご挨拶も済んだところで、記念すべき第一発目にご紹介する漫画は、山口貴由の「覚悟のススメ」です。
もうすでにあらゆる場所で評価を受け尽した作品ですが、あえてこの作品を紹介しようと思い立ったのは、何かひとつ王道を紹介したいなという思いと、個人的趣味からです。
「あ?『覚悟』が王道?何ゆってんのオメー」などという方もいらっしゃるかもしれませんが、この作品は正しく少年漫画の王道なのです。
確かにこの作品は色々な意味で読み手を選びます。作者、山口貴由の独特の絵柄や残酷描写、ギャグか本気か判らない台詞回し、更にはきもち右寄りな思想をひしひしと感じ取れる為、キワモノ・異端の烙印を安易に押されがちです。しかし、常に前向きに戦いを続ける覚悟、そしてそんな覚悟を応援し支える級友達。中でもヒロイン・堀江罪子との不器用で淡い恋など、王道の少年漫画として必要な材料は全て揃っています。
舞台は近未来、大震災後の新東京。未だ復旧の目処も立たず、人々は汚染された大気や怪物化、凶暴化した生物達から自分の身を守らなければならない、そんな荒廃した時代です。しかし、人類は希望を失うことなく、復興への道を辿ろうとしています。学生達は自警団を組織し、自分達の学び舎を守る為に戦い、くじけない歌を歌い続けます。
ある日突然現れた戦術鬼と呼ばれる怪物、それを満身創痍で撃退する主人公、葉隠覚悟。覚悟は零式防衛術という殺人技を駆使し、さらに第二次大戦時に犠牲となった三千の英霊の憑依する強化外骨格と呼ばれる鎧・零を着装することによって、戦術鬼共を葬り去ってゆきます。覚悟は己がどれほど傷つこうと厭わず戦い続けます。何故なら彼の存在理由は力を持たぬ人々を守る事だから。軍人の家に生まれ育ち、幼い頃から徹底した教育を施されてきた覚悟は、人を守る為に自分が傷つく事など問題無いと考えているのです。
覚悟のこの思想はこの物語を貫くメインテーマです。この漫画の随所に登場する名台詞「覚悟完了」にはたとえ己がどうなろうと守り抜き、戦い抜くという強い意志が秘められています。けして死ぬ事を恐れない訳では無い、しかし死の恐怖すら凌駕する魂、それを「覚悟」という言葉で表しているのです。
覚悟の戦いが続いていく中で、この作品のもう一人の主人公とも言える覚悟の兄、散(はらら)にもスポットが当たります。自らを「現人鬼」と称し、次々と戦術鬼を生み出す散は一見悪役以外の何者でもありませんが、物語が進行していく中で散は物言わぬこの星の総ての生物の救(星)主として人類に対し宣戦布告したのだということが明らかになります。地球を汚染し尽くした人類を絶滅させもう一度青い地球を取り戻すというのが散の目的であり、願いでもあります。この作品のテーマの一つは人類の救世主、覚悟とそれ以外の総ての生物(地球含む)の救星主、散による守護者としての戦い、つまり人類V.S.地球という究極の対決の縮図がここに展開されるわけです。
どちらが正義でどちらが悪なのか、決して答えの出ない問いを背負って戦い続ける兄弟二人。この時点ですでに「正義は一つでは無い」などという回答も出ているのですが、二人はお互いの背負うものを放り捨てる事無く死闘を繰り広げます。
この愚直なまでに己の意思を貫き通すという理念、これは『覚悟のススメ』全登場人物について言える事であり、一見グチャグチャに見えるこの作品を決して瓦解させる事無く繋ぎ止めている見えない鎖となっているのです。
この作品は王道でありながら異端であり非常に90年代的な手法で描かれています。過去の作品へのオマージュを散りばめ、ちょっとした漫画読みの方ならすぐに判るような元ネタ、そして当時やたらと騒がれていたエコロジー問題などにも抵触しています。つまり、70年代の熱血路線漫画を現代風に解釈した、と捉えることも可能なわけです。
無論80年代にもそのような漫画が無かったわけではありませんし、『覚悟』と同様のテーマを扱った作品はそれこそメディアを問わず山のようにあるでしょう。
しかし、凡百の作品と『覚悟』が一線を画す最大の特徴として、やりすぎとも思える突き抜けた表現を無造作に放置しておきながらも、破綻する事無く最後まで突き進んで行ける物語の強度、つまりこの作品の完成度の高さを、誇張した表現を頻出させることにより逆に提示している所にあります。ある意味懐の深さを感じさせる仕組みです。
『覚悟』が話題になってから、数々のパロディや、まあ言ってしまえばパクリのような漫画を様々な場所で見かけるようになりました。しかしどれもこれも『覚悟』の上辺の新奇さだけをなぞったり、台詞回しだけを無闇と真似たものばかりで、真なる意味で『覚悟』を超えた作品は今のところ皆無であるというのが現状です。しかし、『覚悟』は少年誌表現の限界まで挑戦した作品であり、それを超えるものとなると、これはもう疑い無く傑作と呼んでよい作品であると思われるので、それも無理からぬ話なのかもしれませんが。
とにかく、『覚悟』は同時代の『新世紀エヴァンゲリオン』とスタイルとして共通する点を持ちながらも確実に異なる作品としてなお90年代を代表する作品であり、エンディングにはその差が如実に現れています。
散との最終決戦を終えた覚悟と罪子を出迎える全校生徒たち、覚悟は照れ隠しか決意表明か、瞬時に零を身に纏い、罪子を抱えて最後の名台詞を力強く唱えます。
「君がいる限り、戦い続ける!!」
今現在、ここまで前向きで肯定的な台詞を言い切れる主人公っているのでしょうか。
既に21世紀に突入して2年半、『覚悟』の登場が94年だったことを考えると、そろそろ新しいヒーローが登場してもおかしくない筈なのですが、果たしてどうでしょう。既に僕達の前に姿を現しているのかも知れませんし、機が熟すべき時を待っているのかも知れませんね。
(真縞)
]]>業田良家『自虐の詩』http://yomiman.jugem.cc/?eid=92004-04-28T13:27:31+09:002004-07-26T18:03:59Z2004-04-28T04:27:31Zえーみなさまこんばんわ、ハリでございます。
今日はいつもと少し文体を変えまして、そしていつものようにマイナー漫画を紹介していきたいと思います。
さて今回はいつもよりは幾分、メジャーな漫画をセレクトしてみました。
業田良家の『自虐の詩』です。これ売れは...yomimanハリジャンひらの
今日はいつもと少し文体を変えまして、そしていつものようにマイナー漫画を紹介していきたいと思います。
さて今回はいつもよりは幾分、メジャーな漫画をセレクトしてみました。
業田良家の『自虐の詩』です。これ売れはしなかったし、今じゃ文庫版くらいしか見かけないという、なんというか、例によって不遇な漫画ですが、評価は高いんですよね。ちょっと漫画レビューサイトとか、ベスト100を選ぶサイトとかいくと、大体、褒められてる。好きな人が多いんですね。でもマイナーなんです。有名な話でこの作者がヤンマガのパーティーに顔だしたら社長に「まだ君は漫画描いてるのかい」と言われたことがあるそうです。まだ連載中にです。それくらいマイナーなんです。
その理由簡単です。地味なんですね、この人の漫画は。それでいながらずっとずっと読み進んでいくと最後に大きなカタルシスが待ってる。読み終わった時、大きな感動があるんです。そこなんです、人気は。だから『自虐の詩』といえば、凄く好きだという人と全く知らないって人と両極端なんですね。マイナーであり、同時にすっごく評価が高い。今回、紹介する漫画はそんな作品です。
幸江とイサオ、二人の中年男女がこの漫画の主人公です。地味ですね。この二人、同棲はしてるけど、結婚はしていない。幸江は食堂で給仕の仕事をしていて、イサオは毎日、家で酒を呑んで働きもしない。しかも幸江に暴力を振るう、なにかというとちゃぶ台をひっくり返す。このちゃぶ台をひっくり返すのが毎回のオチなんですね。あ、言い忘れましたが、この漫画、4コマ漫画です。つまり働かない男と幸薄い女の同棲生活の4コマ漫画なんです。売れそうにないですね。
さて、これは『自虐の詩』に限らず、業田良家の漫画の全編に言えることなんですが、この漫画、「幸江が何かを言う、イサオがそれに対してちゃぶ台をひっくり返す」という一連のパターンの繰り返しから始まるんです。常にネタは一つなんです。例えば『良家童話』だったら、「ステテコ姿の源さんが総理大臣になったら」というネタであり、『詩人ケン』であったら「無職のパンク詩人の日常」というネタのみで構成されているわけです。一つのネタの繰り返しなんです。
だから『自虐の詩』もしつこいくらい、繰り返し繰り返し、幸江とイサオの生活の4コマ漫画が続くです。繰り返し、これ大事です。業田良家って人は常に風呂敷は小さく広げるところから始まるんです。『良家童話』が最初、一発ネタの漫画だったのが、繰り返しされていくうちに日本でも有数のポリティカル漫画に発展してしまったようにですね、最初はそんな壮大な物語になるようには見えないんです。
『自虐の詩』も同様です。お約束ギャグが繰り返されていくうちに、幸江やイサオやそのまわりの人々がどんどんどんどん掘り下げられて描かれていくんです。彼らは何を考えているのか、どんな半生を過ごしてきたのか。そういう人物描写が、やはり繰り返し繰り返し行われてくんですね。そして最初は薄っぺらだった人物が次第に色濃く、そして切実にその姿を表していくんです。人間を描く。これがこの人の漫画の一番の魅力なんです。ありきたりな4コマギャグが繰り返されていくうちに、人間像が確率されていく。こんな4コマ漫画書いてる人、他にいませんね、キャラクター4コマ書いてる人、いっぱいいますけど、誰も業田良家のようには書きません、ある程度、読者とのなぁなぁの中で掘り下げるという作業を放棄してしまいます。業田良家はそれをしません。読者との関係とか忘れてひたすら掘り下げるんです。おかげでこの人の漫画は力がありながらも地味なんですね。延々と繰り返すだけですから。でも、その人、人、人を書く漫画、これが凄いんです。
『自虐の詩』地味ながら読んでみて下さい、きっと最終回泣いてしまいます。私、これ読むたびラスト泣いてしまいます。ものすごいカタルシスが身体包むんです。ああいい漫画読んだなぁって。最終回のはついに4コマ漫画の体裁が崩れてきます。4コマ目が落ちなくて、そのまま次の1コマに繋がってくようになります。でもこれが踏み越えなんです。繰り返されてきた積み重ねがついに4コマ漫画のリズムすら踏み越えてしまうんです、それが不自然じゃないんです。この素晴らしい幸江とイサオの話、是非読んで下さい。
はい、今日は業田良家の『自虐の詩』でした。
それではサイナラ、サイナラ、サイナラ。
(ハリジャンぴらの)
]]>ワイルド7 望月三起也http://yomiman.jugem.cc/?eid=82004-04-28T13:27:04+09:002004-07-26T18:03:59Z2004-04-28T04:27:04Z毎度、Naveです。ついにモモ氏もナカムラくんも参戦して、だんだんいいペースで更新してけるようになって参りましたな。不肖Webmasterとして嬉しい限りです。
さて、今回ボクが紹介するのは「ワイルド7」昭和44年から10年間に渡って書かれたバイオレンスポリス漫画で...yomimannave
さて、今回ボクが紹介するのは「ワイルド7」昭和44年から10年間に渡って書かれたバイオレンスポリス漫画です。この10年間で一応連載は終了しているのですが、ファンからの復活リクエストが後をたたず、「続ワイルド7」、「続新ワイルド7」といった続編が執筆され、今現在も「飛葉」という新作が伝説マガジン上で続行しているというお化け漫画です。
実はこの漫画、ちょっと前まで絶版で手に入れるのが難しい状況でした。今現在愛蔵版が復刊されているのですが、その前にも何度となく別の出版社から発行され、にも関わらず店頭からはすぐに姿を消し、やがて絶版になるという因果なサイクルを繰り返して来た歴史があるだけに、今ワイルドが気になっている方は即刻愛蔵版を揃えておく事をお勧めします。
かくいうボクもこの際に全巻を揃えておこうと思っているのですが、さすが10年以上の重み(物理的にも)本棚を占めるスペースが半端じゃありません。しかし揃えたくなる。それがワイルド7なのです。
さて、ストーリーの紹介に入りましょう。「悪を討つためには悪を以って制す」これをモットーに警察組織内に作られた無法者部隊「ワイルド7」 メンバーは全員札つきのワル。そんな7人が白バイ警官となり、法で裁き切れない悪党を成敗する勧善懲悪ヒーロー漫画です。
ヒーロー漫画というものは勧善懲悪であるがゆえにその爽快感である程度面白く見えるものではありますが、それだけでなくこの作品は劇画史において画期的な作品でした。その一例として、カメラワークで見せるという映画的手法を漫画に取り入れたこと。少年漫画に、はじめて複雑に絡み合うストーリーを組み入れたこと。そして、これは現在の視点から捉えた意見ではあるのですが、「おおらかな時代に描かれたために荒唐無稽、かつ天衣無縫なアンビバレンツ」が存在しうるということ。
とても現実的には有り得ないような設定・ストーリーでも、望月ワールドの中ではこうなんだろうなぁ、と思わされてしまう力が作品中に漲ってるんですね。設定をガチガチに固めて、リアルさを追求するきらいのある近年のアクション漫画にない魅力です。
かといって、そこまでファンタジーな設定なのかというとそうでもなく、しっかりとした世界観の中で、大量の伏線を張りつつきちんとお話は進行していきます。
伏線、そうこれがワイルド7を語る上で最も重要なキーワードなのかもしれません。一つの話の中で平行していくつもの場面が展開されていったり、ずっと以前に張られた伏線がまさに見せ場!というところで生きてきたり、とそのお約束とも言える気持ちよさには感嘆します。
しかし、この望月三起也という作家、いささか伏線を用意しすぎる傾向があるようで、作品中、「どう考えてもこれは伏線だろう」と提起された事柄について、その後ずっと言及すらされなかったりという事が平気であります。まぁ、そこも魅力といえないこともないのですが(笑)。
そんなお茶目なところもあるこの作品、巻数がやたら多いですが一度読み始めると止まらない、とにかく先が気になる名作です。もう一度言いますが、興味を持たれた方はこの機会に愛蔵版を揃えておく事をお勧めします。断固。
#最近購入漫画
・いきばた主夫ランブル 星里もちる ビームコミックス
評価:10年以上前の作品にも関わらず、古臭さを感じさせないのはさすが。後のりびんぐゲームにも通じる「自己の居場所探し」描写が重くなりすぎず、気持ちよく読めます。
・少女少年(1) やぶうち優 てんとう虫コミックススペシャル
評価:小学生の少年がひょんなことから女装してアイドルになってしまうオハナシ。偶像と現実のギャップや、淡い恋愛の葛藤などが見事に描写されています。買うの恥ずかしかった(´Д`)
・オーバーマン キングゲイナー (1) 富野 由悠季 (著), 中村 嘉宏 (イラスト) MFコミックス
評価:キングゲイナー好きにも関わらず今まですっぽり買い忘れてたので購入。中村 嘉宏氏の圧倒的画力で描かれるエクソダス前夜。アニメ版とはまた違った魅力があってオススメです。
・鋼鉄の少女たち(1,2) しけたみがの, 手塚 一佳 角川コミックス・エース
評価:戦乱の世、王国を守るために徴兵された少女戦車兵たちが敗走の一途を辿る戦線で悲惨な戦いを繰り広げるお話。戦車と銃と美少女・非常にエース桃組くさい漫画。女の子たちがヒドい目に合わされる様は戦争の現実を突きつけられたようで辛いです。が、そんな中でもタチムカウ登場人物達は健気です。見るべきところはいろいろとある作品のような。
・クーデルカ(1,2,3) 岩原 裕二 角川コミックス・エース
評価:先日買った「いばらの王」がかなりよかったので既刊も集めてみようと購入。期待にそぐわぬ出来でした。えっと、これゲームのコミカライズなの? 自信を持ってオススメできる作品。
・ベイビーリーフ 二宮 ひかる ヤングキングコミックス
評価:本屋でジャケ買いしました。内容はというと、中学生カップルの淡い恋、そしてセックス。思春期ゆえの悩み、そしてセックス。不器用なセックス、そして別れ。セックスばっかりか。寂しさゆえにセックスしちゃう孤独の悲しさとか、そんな感じです。軽い気持ちで読むとちょっとダメージ喰らいます。個人的な印象として、ヤサシイワタシ(ひぐちアサ アフタヌーンKC刊)に似た感じだなぁ、と思いました。こっちはもっとダメージ大きいですけど。暗いです。
(Nave)
]]>ORANGE 能田達規(秋田書店)http://yomiman.jugem.cc/?eid=72004-04-28T13:26:38+09:002004-07-26T18:03:59Z2004-04-28T04:26:38Zナカムラです。よろしくおねがいしまーす。
今回僕が紹介するのは能田達規・『ORANGE』、チャンピオンで現在好評連載中の作品です。
作者の能田達規という人は『おまかせピース電器店』という、どうやら名作らしい ヒューマンドラマ作品を生み出した方のようです。 ...yomimanナカムラ
今回僕が紹介するのは能田達規・『ORANGE』、チャンピオンで現在好評連載中の作品です。
作者の能田達規という人は『おまかせピース電器店』という、どうやら名作らしい ヒューマンドラマ作品を生み出した方のようです。
残念ながら僕はまだ読んでおりません。
さて、ではこの『ORANGE』ってどんな話かわかります?
実はこれサッカー漫画なんです。
内容は、
「四国の片田舎にある弱小お荷物サッカークラブ南予オレンジがF1昇格を目指してF2リーグ全34試合で上位2位になるために奮戦する」マンガです。サクセスストーリーです。
尚、あらすじの中でキャラクターの固有名詞を出す必要は全くありません。なぜならこの作品の本当の主役は「チーム」そのものだから。
この作品はチームとそれをとりまく選手・フロント・サポーターが話の核になっており、「メインキャラたちの成長→クラブが一流のプロフェッショナルへステップアップしていく→さらなる高み(昇格)を目指す」という流れで話は進んでいます。
さて、このマンガはタイトルにサッカー用語を使わなかったりしてたりと、かなり意図的にサッカーマンガのセオリーを外しているんですね。例をいくつかあげると、
ひとつがプロのリーグ戦形式でであること。
過去にプロリーグ戦を描いたアツイ漫画は
「ストッパー毒島」、「VIVA CALCIO」、例外として「ヒカルの碁 プロ試験編」
と、あんまりないんです。この中でサッカー漫画は「VIVA CALCIO」だけ。
基本的にスポーツマンガはKO方式のトーナメント、こっちのほうが少年漫画らしい構図を出しやすい。他にもリーグ形式を採用することによって派生する他との差異も
・引き分け」がある
・2回戦う必要がある
・負けても挽回のチャンスがある
というセオリーからいけばテンションを上げづらい要素にあえて挑んでいます。
ふたつに明確な1人称の主人公を置かないこと。
一応若松ムサシという主人公は設定されていますが、彼の物語ではありません。
作中に彼が違うチームの中に加わって試合をするシーンが何度かあるんですけど、
そこは数ページで流してるんです。
最近のサッカー漫画は「日本代表」に主人公が加わり国内のライバルと力を合わせて
海外の更なる強敵を倒すというドラゴンボール「ラディッツ」方式を採用していますが
「ORANGE」ではそこで主人公は全く成長しません。数ページで終わります。
三つ目は観客がいること。
僕はこの描写に完全にビビリました。
作中に観客を出す必要がない他のサッカー漫画は限りなくこれをスルーしている。(おそらくモブシーンでの手間を考えてのチョイスなのだろうし、学生の試合にはあまり観客は必要ない。)
だけどこの作品においてはこれはチームが主人公であることを示す上で絶対に避けては通れない要素なのだ。
なぜなら背景の中の記号に過ぎない観客が「チームの成長」をあらわすキーなのだから。
チームが成長するってどういうこと?って疑問に思う人もいるだろう。
「強くなる」ことも大事な要素。
もうひとつが「プロフェッショナル」になるということ。それは社会に認められることだが、わかりやすく表現するためのギミックが「チームが弱く閑古鳥が鳴くスタジアム→チームが好成績を上げ徐々に人が集まりだす→満員になる」だろう。
試合中や試合後の観客をコマに表すことで読者に説得力を与えているけど、コマのほとんどにモヴをいれることはすさまじい労力だろう、恐れ入る。
僕は実はサッカー見るの好き好き人間なのです。ホントはこういうサッカー好きにはたまらない小ネタ要素がたくさん盛り込まれてる漫画を紹介したくて連載中であるこの作品をチョイスさせていただきました。
この作者さんもJリーグのサンフレッチェ広島サポーターということらしいけど、それを聞いてこの作品の細部の凝り様に納得してしまいました。
(余談だが、某サッカー雑誌に作者のインタビューが掲載されていたがその内容で僕は「これは立派なオタクだな」と納得させられた。)
それに実はこの作品、サッカー観戦好きには「あー、こんなことあるある」と思わせてしまう小ネタが満載なのだ。
選手入場シーン、横断幕、「集中!」「プレス!!」とかしか叫ばなそうなオヤジ、遠方からやってきた敵サポーター、親子連れサポーターの何気ない会話とかね。
もちろんプレイ面での
ポストプレイヤーという特性をもったFW、
説得力のある主人公の能力
パス出さないでシュートばかり打つ外人
ゴールが入る経過
チームごとの流れの中での駆け引きなどなど。
エピソードとしても
学校のグランドを使うプロ、バスで敵地まで行く選手、全て実話です。
そういうサッカーオタクの共感を生ませる漫画は現在のところ稀有な存在だろう。
まぁまだ完結してないので残り5試合がおわったときにもう一回感想を書きたいです。
重刷もかかり好調のようで、嬉しい限り。 ただサッカー好きではない人間からの感想があまり聞こえないので、一般の方々への作品としてどう評価されてるのが気になります。昇格(この作品での目標)システムとか馴染みないと面白さを理解できるのかなぁ。
もしこのレビューを読んでから「ORANGE」を手にとった方は是非感想お願いします。試合そのものは五話分ほどでテンポ良く進むので、気軽に読めると思いますよ。
一回目はこんな感じでしたがどうだったでしょうか?
わりと恋愛や人間ドラマが多かったので、ちょっと流れを変えようとスポーツマンガに
トライしてみました。可愛げなくてすいません。
(ナカムラ)
]]>SWEET デリバリー 鴨居まさね(集英社)http://yomiman.jugem.cc/?eid=62004-04-28T13:26:14+09:002004-07-26T18:03:59Z2004-04-28T04:26:14Z初参加のももです。ども。
あー、なんかぴらのんの後ってめっちゃ書きにくいわ。
なんかみんなゴリゴリ書いてるので、私は私のペースでまったりやります。
自分とこのHPの日記なんかも全然続かないので、
ひょっとしたら文章書くのキライなのかも・・・。
ま、ムサクル...yomimanもも
あー、なんかぴらのんの後ってめっちゃ書きにくいわ。
なんかみんなゴリゴリ書いてるので、私は私のペースでまったりやります。
自分とこのHPの日記なんかも全然続かないので、
ひょっとしたら文章書くのキライなのかも・・・。
ま、ムサクルシイ男どもの中で可愛げのあるマンガをひとりで紹介します。
よろしいでしょうか?
といういわけで、一発目は鴨居まさねです。
『YOUNG YOU』に掲載されてたんですが、はまったとき、実はショックでした。
「もう、花ゆめコミックスの恋愛観では共感できねえ!!」と気づいてしまったのよ。
世代的に・・・ね。
『りぼん』はいわずもがな。テンションについてけんのよ、おばちゃん。
で、内容はというと、オリジナルウエディングをプロデュースする会社を経営するマコトと実与子、社員のデコラちゃんとマヤさんを中心に「恋愛」と「結婚」のどたばたを描いた話。
一話完結のくせに、その間にキャラクターが育っていくのが魅力的!
一巻の初めはコイビトでありながらマコトに片思いぎみだった実与子が、最新刊では、もう立派な母親になってるし!
シゴトもレンアイもだめだめだったデコラちゃんもすっかり両方のおいて大人に!
「おばちゃん、あんたがこーんなに小さかった頃から知ってんのよー?」
みたいな気分になれる感じですかね?
私が意外とモーニング娘。すきだったりすんのはそのせいだな。オーディションから見てたもん。
とにかく実与子さんがもうイトオシイのなんのって!!
「なんかのフとした瞬間に愛しさがこみ上げたりするじゃない? そうすると もう止まらなくなって仕事中だろうが何だろうが(胸に何かぐぐぐっとこみあげている絵のコマ)→(オエーってハートマークを吐き出してる絵のコマ)−−って吐きそうになるのまんまり好きで……v 」
と友人宅で「自分の気持ちのコユさ」を評するところがえらい好き!
私も実は結構コユめの人なんで、わかるっすー。
先日のNave氏紹介の「恋愛ディストーション」で言うところの「犬人間」だもの。
あと鴨居作品に共通してるのが、女の子たちがみんな仕事がんばってるとこ。
みんなプライドもって、かなり楽しげに働いてんの。
そういうの読むと、なんか素直に頑張ろう〜って気になる。
恋愛も、仕事も、な世代のハートをがっちり掴んでくるのが鴨居ワールドなのです。
なんか作品の良さがうまいこと伝えられなくて歯がゆいよう。
(もも)
]]>『風呂上がりの夜空に』小林じんこ(もしかすると絶版)http://yomiman.jugem.cc/?eid=52004-04-28T13:25:50+09:002004-07-26T18:03:59Z2004-04-28T04:25:50Zここ経由でヘッポコ自サイトの掲示板にやって来てくださった強者がいたりして「ほほう、よみまんもなかなか使えるなぁ」とちょっと馬鹿にしていたよみまんに感心してしまったハリです。うす。以上、挨拶。
見てる人いるんですね、このレビュー。びっくりするぐらいアクセ...yomimanハリジャンひらの
見てる人いるんですね、このレビュー。びっくりするぐらいアクセスないのに(ププ)
ちなみにその時は漫画喫茶のパソコンの前で春日光広の『ザ・サムライ』の続編の『サムライ刑事』という半年後には100円で売ってそうな新刊を読んでました。つまらねぇ。
反響といえば思ったより『ニナライカ』を読んでいる人がいたのに驚きました。さすがはマンガ読みが揃ってます。もっと誰も読んでいないのを発掘・紹介するのがオイラのお仕事。精進しなければ。
さて今回紹介するマイナー漫画はというと……。
『風呂上がりの夜空に』小林じんこ
この作品は名作なのだが、好き嫌いが別れるようで、今までも絶版→再販→絶版→再販という経緯を繰り返してる、ある意味、幻の作品。最後に出た新装版も絶版かも知れない。
ちなみに古本屋にいくと一番最初の版の(ヤンマガKCスペシャル)安いセットを多々見かけるので、読みたい人はこちらを捜して欲しい。
なぜ好き嫌いが別れるかというと実に単純な理由。
絵柄がどうにも古臭いのだ。80年代のよく言えばポップな、悪く言えば乱雑な少女漫画絵なのである。初期の岡崎京子のようである。一コマの情報量が多く、細かな音楽ネタ(タイトルがRCサクセションの名曲からとっているように80年代バンドブームの影響が強い)があちこちに散りばめてある。しかも写実的でもスタイリッシュでもなくヘタウマ系である。悪い言い方をするとそういう画面である。
読み手によっては数ページで断念してしまうこともある。80年代を感じさせるタイトルと内容であり、ある意味、そういった時代性を楽しむ漫画でもある。
しかし、そんな「一周回ってまた面白い」的な面白さがこの漫画の真価なわけではない。今、読んでも充分に新しいし、スリリングなのだ。実際、このレビューを書くために悪友と数年ぶりに読み返してみて、二人で「面白い!」と声を合わせて言ってしまったくらいに。
ストーリーは単純である。数年前にヒロインが怪我をしそうなところを救って傷を負った主人公が、高校入学をしてヒロインと再開するという、『愛と誠』のパロディのラブコメだ。この「もえ」というヒロインと辰吉という主人公(あらためて考えると二人ともファンキーな名前だ)のラブストーリーが主軸なわけだが、ここではそれは重要ではない。この漫画は粗筋を話してしまうとじつに平凡なラブコメでしかない。
この漫画の何が面白いか。それは物語が主軸から離れていく瞬間である。主人公たちの恋愛譚が主軸であるし、それによって物語は初めて動き出すのであるが、一コマの情報量が膨大なのと同様に、この漫画は膨大な横道にそれた物語で構成されているのである。こういうと、様々なタイプのサブキャラが大量に登場することによって、異なる嗜好の読者に支持される90年代的な、いわゆるキャラ萌え漫画を想像してしまうかも知れない。しかしそういった方法論をこのラブコメ漫画はとっていない。
こればっかりは読んでみて実感して欲しいのだが、この漫画は全く毛色が違う様々な一話完結の物語の集合体なのである。そしてその個別の物語を一本化しているのが主人公たちの恋愛譚なのだ。
本筋とは関係ない横道にそれた話ばかりで構成されたラブコメ漫画。これが『風呂上がりの夜空に』の正体だ。
しかも各話ごとに物語のギミックが異様に凝れられていて読み手を飽きさせない。複数の物語が同時進行する入れ子式の話や、数話にまたがる夢落ちの話、複雑に入り組んだスパイラルな話、全く主人公たちが出て来ない話など、様々な実験的な物語の集合体である。どんな漫画やアニメやドラマにも一話ぐらい「なんだかよく判らない話だったが、いつもと毛色が違って面白かった」という話があるだろう。あれが毎回になっているといったら、想像してもらえるだろうか。この文章を書くためにいくつかのレビューサイトをまわってみたが、「第××話が面白い」などという各話に絞ったレビューが多かった。確かにこの漫画の面白さについて語ろうとしたら細部について見つめるべきであり、全体についてとらえようとすると、難しいのかも知れない。非常にスキゾでポップな作品なのである。
スキゾフレニーなんて言葉を使って思い出すのはやっぱり80年代に流行った浅田彰の『逃走論』だろう。浅田彰は今後の文明はトータライズされた文明ではなく、瞬間を生きる逃走的な文明であると予言した。その予言が当たっているかはとにかくとして、そんな面でもこの漫画は80年代的なのだ。
さてこれも重要なことだが、トータライズされた物語、つまり主軸となる主人公たちの恋愛譚だが、ここも充分に面白い。まったとうな心理劇が展開する主軸の物語も目が離せないし、どこか切ない。このラブコメ漫画には90年代以降、恋愛漫画が失ったものがあるし、それ以前の恋愛漫画にはなかったものがある。これも時代性だろうか。
ところで現在、小林じんこという作家は結婚とかいろいろ理由があり、ほとんど「消えた」漫画家状態になってる。3年に1作というレベルだ。『りなことお兄ちゃん』が時々掲載されているらしいが、すでに1巻が絶版だ。果たして完結するのやら。
(ハリジャンぴらの)
]]>恋愛ディスト-ション 犬上すくね (少年画報社)http://yomiman.jugem.cc/?eid=42004-04-28T13:25:17+09:002004-07-26T18:03:59Z2004-04-28T04:25:17Z連続でNaveです。ういいいいっす。他のメンバーも書けよー(挨拶)。
というわけで今回は犬上すくね・恋愛ディストーションから、「イヌ人間三部作」(四巻に収録)をいっちょオススメしとこうかと。
まず、恋愛ディストーションがどういうオハナシかというかとですね...yomimannave
というわけで今回は犬上すくね・恋愛ディストーションから、「イヌ人間三部作」(四巻に収録)をいっちょオススメしとこうかと。
まず、恋愛ディストーションがどういうオハナシかというかとですね。ヤングキングアワーズライトという今は休刊(廃刊?)してしまった雑誌に連載されていた恋愛モノマンガ。大学生・大前田真とその恋人、緑川棗・同じく大学生の江戸川陽一、その恋人大塚まほ この二組の恋人たちの日常(?)を描いた作品です。日常、というからには大きな盛り上がりはないのですが、一作一作丁寧に人物の描写が細かくされていたり、感情の機微が敏感に描かれていたりして「恋っていいなぁ」と素直にときめける稀有な作品であると思います。
今回はその登場カップルの一方、大前田真と緑川棗のエピソード、イヌ人間三部作をとりあげます。
さて、それにはイヌ人間について説明しなければなりませんね。皆さんはイヌの性癖をご存知でしょうか。そう、主人命。そして、その主人に構ってもらえないとすぐ拗ねて情けない声を出す。主人の命令は絶対。いつでも頭はご主人様のことでいっぱい。かわいいですね、イヌ。で、イヌ人間にとってはご主人様=恋人というわけです。恋愛至上主義者ですな。
そんなイヌのような性癖を持つ男、大前田真。物語は大前田が、同じイヌの性癖を持つ機織紡(おりはたつむぎ)という女性と出会い、彼女もまた大前田と同じイヌ人間であると発覚するところから始まります。
因果なもので、イヌ人間のご主人様は得てしてネコタイプだったりするんですよね。イヌは構ってもらいたいのに、ご主人様はネコだから自分のやりたいことをしていて構ってくれなかったり。そんな時イヌ人間は尻尾を丸めて、耳を伏せてくんくん鳴いてるしかないんです。イヌ人間を恋人に持つ方はそんな覚えは無いかよく考えて頂きたい!(ドーン) 寂しいんだぞウワーン!!
いけね、興奮しました。・・・ご主人様にゾッコンで、でもあまり構ってもらえない。そんな境遇を持つ拗ね気味の二人が出会えば、傷を舐めあいたくなるのは必定。互いにイヌ人間なので気持ちが通じ合ってる分だけ、微妙に惹かれあっている心情が手に取るようにわかります。
その、互いに互いの主人に背徳心を持ちながらの傷の舐めあい描写(飲み行ってカラオケするだけなんですが)が非常に秀逸で、もう初々しいやら後ろめたいやら。終いには紡さんが大前田に「彼女とうまくいってない時にだけ会ってくれる、二号さんにして」みたいな事を言い出してしまいます。はい、ここ重要。互いの気持ちがよくわかる、ってのは非常に心地いいんですな。イヌ人間はこういうのに慣れてないのでもうアレです。アレですよ。もう。上手に言えませんが叫び出したくなるほどの共感を覚えさせられました。個人的にこのエピソードは珠玉揃いの犬上作品の中でも一番の名作だと思います。
そういった意味でオススメ。但し、イヌ属性の方に限りますが。そうでない方は自分の恋人にそういう思いをさせてないか気をつけてあげてください。イヌはとっても繊細ですよマジで。
ああ、また破綻したレビューを書いてしまった・・・。堪忍。
#本日購入マンガ
・いっしょにごはん 谷川史子 りぼんマスコットコミックス刊
評価 : 前作「魔法を信じるかい」とはうってかわって原点回帰+少々の対象年齢引上げといったふうの作品。「魔法を信じるかい」は旧来の読者には(´Д`)でしたが、この新刊では少し救われた気持ちになりました。でも、昔の方がよかったなぁ、と感じてしまうキモチは否めませんな。でも、面白かったです。
(Nave)
]]>三発目 敷居の住人 志村貴子 (ビームコミックス)http://yomiman.jugem.cc/?eid=32004-04-28T13:24:15+09:002004-07-26T18:03:59Z2004-04-28T04:24:15Zはい、とりあえず三発目いっときます。Naveです。ういっす。
お題は「敷居の住人」コミックビームというエンターブレインの割とマイナーな雑誌に連載されていた作品です。そもそもコミックビーム自体があまり発行部数の多くない雑誌なので(連載は良作揃い)今回紹介する...yomimannave
お題は「敷居の住人」コミックビームというエンターブレインの割とマイナーな雑誌に連載されていた作品です。そもそもコミックビーム自体があまり発行部数の多くない雑誌なので(連載は良作揃い)今回紹介する敷居の住人も知らない方が多いのではないかと思います。
さて、この作品、一言で言うなら「ダメ青春マンガ」。基本的に主人公・本田千秋とその周りを基本に描かれていくオハナシなのですが、この主人公がホントにどうにもダメ人間。やりたい事だけし、教師に反抗し、次々に女と付き合っては素直になれなくてダメになる。そんなドントトラストオーバーサーティーな主人公の周囲のオハナシなのでストーリーに山も谷もありません。読んでるほうはもうモヤモヤモヤモヤしっぱなし。
あー、客観的に書いてたらすげーつまんなそうなマンガに見えてきました。でも、このマンガ面白いんですよ。不思議に。なんだろう、誰しも思春期に思うような葛藤をそのままマンガにしたような物語でして。そうだなぁ、なんていうか若さゆえの無軌道ぶりがあったりとか、無気力な毎日だったりとか、それゆえの失敗だとか、恋に泣いてみたりだとか、セックスへの憧れとか失望とか。そういったものが混沌としていて、誰しもが感じるであろう「ああ、あるある」の塊のようなものがあるんですね。もしかしたらもう25に足が届かんとしてる今(Naveは24歳厄年です)だからこそ面白いと感じるのかもしれません。
青春なんて呼べる時期が果たして自分にあったのだろうか、なんて今は思っていますが、40代50代になった時に思い返す20代当時のことを青春だと言うならば、その頃に昔の友人やら友達やらを思い出して感じる甘酸っぱさ、そういったもの+当時の葛藤をストレートに思い出させてくれてやきもきさせる作品であると感じました。「あぁ!あの時ああしていれば!」っていう経験、皆さんにもあるでしょ? ええいくそ、うまく言えないなあ。
とにかく、オトナになってしまった皆さんにオススメなマンガですよ、と。
ちなみにワタクシ高校は男子校でして、3年間女子が全くいないという暗黒の高校時代を送った訳なのですが、どういうわけかその3年間の思い出がほとんど無いんですよ。数少ない思い出の中で最も鮮烈に覚えているのは、人生始めての彼女が出来た事、それと人生始めて付き合ってた彼女にフられた事でした。辛かったです(つД`) 始めて知った恋の喜びと痛み、懐かしくも鼻の奥がつんとするような気持ちを思い出します、このマンガ読むと。
ああん、むずがゆくなってきたΣ(;´Д`)
#本日購入マンガ
・わずかいっちょまえ 星里もちる(エンターブレイン刊)
評価 : 名作
・いばらの王(1) 岩原裕二 (エンターブレイン刊)
評価 : 続きを期待(続刊のため)
・忘却の旋律(1、2) 片倉真二 (角川書店)
評価 : 非常に健全な少年漫画 評価の別れるところ。俺的には(´Д`)
(Nave)
]]>