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12色物語  (坂口 尚) 全1巻  講談社漫画文庫
 皆様こんにちは、真縞です。新人なので憶えて頂くのに必死です。
 
 今回ご紹介する漫画は坂口 尚の「12色物語」という短編集です。
 坂口 尚というと、「石の花」「VERSION」「あっかんべェ一休」など、俗に言う長編三部作や、アニメ作品の「火の鳥2772」(この人は手塚治虫の虫プロに所属していました)など優れた作品を遺している作家ですが、今回は長編やアニメといった時間のかかる作品ではなく、取っ付きやすく読みやすい短編集をチョイスしてみました。

 タイトルの12色という言葉が示す通り、それぞれ12の短編に12のイメージとなる色が設定されています。というよりも、まず一つの色から思い起こされるイメージを膨らませて話に仕立て上げたと考えるのが正しいようです。
 たとえば白。白から想像できるイメージは無数にありますが、ここでは雪の色、北国のサーカス一座に流れ着いた孤高のヴァイオリニストのお話。話が展開するにつれ、純白のイメージ「高潔さ」についても言及されて行きます。
  
こんな風に12色のストーリーは時に明るい、時に厳しい世界を垣間見せてくれます。
そのどれもがハッピーエンドと言う訳ではありません。かといって、残る読後感が苦い物かと言うと、決してそのようなことは無く、むしろ満足感の方が大きい筈です。

 坂口 尚という作家は人間を徹底的に見つめ続けた人です。表面上の部分だけでは無く、月並みですが心の奥底まで。その結果、坂口作品は常に読者に対して何かを問いかける作品となっています。しかし、読者はそのことについて常に意識させられる訳ではありません。
 あくまでも軽いものは軽く、重くする時は徹底的に。坂口作品の根底には常に人間への優しさと厳しさが同時に流れており、この短編集一冊を読むだけでもその事は伝わってきます。常に何か訴えるべきことはあるのだけれど、読者にまず読ませることを忘れません。エンターテイメントとメッセージの両立、これは実に稀有な才能だと思います。

 残念なことに、坂口 尚は1995年12月に49歳という若さで亡くなりました。
 多くの作品を遺した訳ではありませんが、それでも一つ一つの作品に込められた情熱は師である手塚にもけして劣らぬものであったと思います。

 (真縞)
| 真縞 | 13:41 | comments(0) | trackbacks(0) |
マンガ家こいずみまり
超お久しぶりです、ナカムラです。多作で数々の雑誌でお見受けする作家こいずみまり、について取り上げたいと思います。

 彼女には「絵が致命的に下手・世間一般にブレイクしたのはムチャな低俗マンガ・作品に独自の空気を持つ」という特徴があります。
低俗マンガといえば西原理恵子ですが、僕はこいずみの出世作「コイズミ学習ブック」をただの『まあじゃんほうろおき』フォロワーのようなマンガと捉えていました。理由は絵が下手だし下品だから。しかし彼女の他の作品も読んでみたところ、この両者の共通項に気づきました。

 西原理恵子には強烈なクリエイターとしての源泉があります、高知の漁村での幼少
時代と不良の中高時代です(『ぼくんち』・『ゆんぼくん』・『晴れた日は学校を休んで』参照)。彼女はその体験や教訓を糧にしてストーリーを読ませる作品を仕上げていき、作品を積み重ねることで世界を洗練させていくマンガ職人でした。

さて、こいずみまりは限りなく西原的な漫画ウェイを歩んでいます。
1 ストーリーを進ませることのみに重点をおくスタイル
 絵にはあまりこだわらず、ただひたすらにストーリーを転がしていく。絵に労力を割かないしほとんど4コマで進行していく。
2 作品の中の空気感の確立
 おそらくエロマンガにありがちな多作ゆえの読者に与える心地よさと似ている。美大→広告系職種のコンボというデビュー前のキャリアの影響あるんでしょう。クリエイタ肌のふわふわした
性格の人が作中にやたら多い。

 この手の作家は限りなくブレイクしづらいのかもしれません。絵でグイグイ引っ張れるわけでもなく、ストーリーもきわめて単調だし地味。実際、両者とも世に出たのは実録モノ体当たりマンガなわけで自分の本当の戦場ではない。けれどもそのチャンスをモノにしたから彼女達の作品は人々の目にとめることに成功したのであり、ひとたび読者を引き込めば漫画はどんな形でも読まれるし評価されるってことを証明してるのではないでしょうか。

 そして彼女はまだまだ現役。
『CUT×OUT』では短編ながらも「1P=4コマ×2」パターンを捨て、コマ割りをフツーの漫画と同じにしてみようと試みているし、『LET IT BE』では上の2で挙げた彼女の得意分野もブチ壊し、桜小路さんという萌えキャラさえも作り上げてしまった。
長編『ジンクホワイト』は名義を変え、4コマとフツーマンガの融合を図っています。おそらく『健全恋愛ライフ』直系の漫画といえるでしょう。

 彼女の漫画は落ち着いた世界を描く新鮮味のない少女マンガのようなものかもしれません。でも彼女には作家としてどう転んでいくかわからない未知数の要素がある。僕としてはその過程を楽しみたいし、待てない人は一旦その存在を忘れて傑作が出るのを待っていてもらいたい。

 本当は作品ひとつをとりあげたかったのですけど、自分にそれを書ききるだけの経験
とかが僕にはなかったんでこんな形にしてしまいました。
次回は通常形式にもどさせていただきます。それではまた。

それでは。
(ナカムラ)

| ナカムラ | 13:40 | comments(0) | trackbacks(0) |
覚悟のススメ(山口 貴由) 全11巻 秋田書店
 皆様初めまして。主な睡眠場所は電車の中という眠るダメ人間、真縞 静時と申します。
 この度、縁あってこの素晴しきよみまんメンバーの末席に加えて頂く運びとなりました。まだまだ他の先輩方の足元にも及びませんが、今後とも宜しくお願いします。
 
 さて、ご挨拶も済んだところで、記念すべき第一発目にご紹介する漫画は、山口貴由の「覚悟のススメ」です。
 もうすでにあらゆる場所で評価を受け尽した作品ですが、あえてこの作品を紹介しようと思い立ったのは、何かひとつ王道を紹介したいなという思いと、個人的趣味からです。
「あ?『覚悟』が王道?何ゆってんのオメー」などという方もいらっしゃるかもしれませんが、この作品は正しく少年漫画の王道なのです。
 確かにこの作品は色々な意味で読み手を選びます。作者、山口貴由の独特の絵柄や残酷描写、ギャグか本気か判らない台詞回し、更にはきもち右寄りな思想をひしひしと感じ取れる為、キワモノ・異端の烙印を安易に押されがちです。しかし、常に前向きに戦いを続ける覚悟、そしてそんな覚悟を応援し支える級友達。中でもヒロイン・堀江罪子との不器用で淡い恋など、王道の少年漫画として必要な材料は全て揃っています。
舞台は近未来、大震災後の新東京。未だ復旧の目処も立たず、人々は汚染された大気や怪物化、凶暴化した生物達から自分の身を守らなければならない、そんな荒廃した時代です。しかし、人類は希望を失うことなく、復興への道を辿ろうとしています。学生達は自警団を組織し、自分達の学び舎を守る為に戦い、くじけない歌を歌い続けます。
 ある日突然現れた戦術鬼と呼ばれる怪物、それを満身創痍で撃退する主人公、葉隠覚悟。覚悟は零式防衛術という殺人技を駆使し、さらに第二次大戦時に犠牲となった三千の英霊の憑依する強化外骨格と呼ばれる鎧・零を着装することによって、戦術鬼共を葬り去ってゆきます。覚悟は己がどれほど傷つこうと厭わず戦い続けます。何故なら彼の存在理由は力を持たぬ人々を守る事だから。軍人の家に生まれ育ち、幼い頃から徹底した教育を施されてきた覚悟は、人を守る為に自分が傷つく事など問題無いと考えているのです。
 覚悟のこの思想はこの物語を貫くメインテーマです。この漫画の随所に登場する名台詞「覚悟完了」にはたとえ己がどうなろうと守り抜き、戦い抜くという強い意志が秘められています。けして死ぬ事を恐れない訳では無い、しかし死の恐怖すら凌駕する魂、それを「覚悟」という言葉で表しているのです。
 覚悟の戦いが続いていく中で、この作品のもう一人の主人公とも言える覚悟の兄、散(はらら)にもスポットが当たります。自らを「現人鬼」と称し、次々と戦術鬼を生み出す散は一見悪役以外の何者でもありませんが、物語が進行していく中で散は物言わぬこの星の総ての生物の救(星)主として人類に対し宣戦布告したのだということが明らかになります。地球を汚染し尽くした人類を絶滅させもう一度青い地球を取り戻すというのが散の目的であり、願いでもあります。この作品のテーマの一つは人類の救世主、覚悟とそれ以外の総ての生物(地球含む)の救星主、散による守護者としての戦い、つまり人類V.S.地球という究極の対決の縮図がここに展開されるわけです。
 どちらが正義でどちらが悪なのか、決して答えの出ない問いを背負って戦い続ける兄弟二人。この時点ですでに「正義は一つでは無い」などという回答も出ているのですが、二人はお互いの背負うものを放り捨てる事無く死闘を繰り広げます。
 この愚直なまでに己の意思を貫き通すという理念、これは『覚悟のススメ』全登場人物について言える事であり、一見グチャグチャに見えるこの作品を決して瓦解させる事無く繋ぎ止めている見えない鎖となっているのです。
 この作品は王道でありながら異端であり非常に90年代的な手法で描かれています。過去の作品へのオマージュを散りばめ、ちょっとした漫画読みの方ならすぐに判るような元ネタ、そして当時やたらと騒がれていたエコロジー問題などにも抵触しています。つまり、70年代の熱血路線漫画を現代風に解釈した、と捉えることも可能なわけです。
 無論80年代にもそのような漫画が無かったわけではありませんし、『覚悟』と同様のテーマを扱った作品はそれこそメディアを問わず山のようにあるでしょう。
 しかし、凡百の作品と『覚悟』が一線を画す最大の特徴として、やりすぎとも思える突き抜けた表現を無造作に放置しておきながらも、破綻する事無く最後まで突き進んで行ける物語の強度、つまりこの作品の完成度の高さを、誇張した表現を頻出させることにより逆に提示している所にあります。ある意味懐の深さを感じさせる仕組みです。
 『覚悟』が話題になってから、数々のパロディや、まあ言ってしまえばパクリのような漫画を様々な場所で見かけるようになりました。しかしどれもこれも『覚悟』の上辺の新奇さだけをなぞったり、台詞回しだけを無闇と真似たものばかりで、真なる意味で『覚悟』を超えた作品は今のところ皆無であるというのが現状です。しかし、『覚悟』は少年誌表現の限界まで挑戦した作品であり、それを超えるものとなると、これはもう疑い無く傑作と呼んでよい作品であると思われるので、それも無理からぬ話なのかもしれませんが。
 とにかく、『覚悟』は同時代の『新世紀エヴァンゲリオン』とスタイルとして共通する点を持ちながらも確実に異なる作品としてなお90年代を代表する作品であり、エンディングにはその差が如実に現れています。
 散との最終決戦を終えた覚悟と罪子を出迎える全校生徒たち、覚悟は照れ隠しか決意表明か、瞬時に零を身に纏い、罪子を抱えて最後の名台詞を力強く唱えます。
 「君がいる限り、戦い続ける!!」
 今現在、ここまで前向きで肯定的な台詞を言い切れる主人公っているのでしょうか。
 既に21世紀に突入して2年半、『覚悟』の登場が94年だったことを考えると、そろそろ新しいヒーローが登場してもおかしくない筈なのですが、果たしてどうでしょう。既に僕達の前に姿を現しているのかも知れませんし、機が熟すべき時を待っているのかも知れませんね。

(真縞)
| 真縞 | 13:27 | comments(0) | trackbacks(1) |
業田良家『自虐の詩』
えーみなさまこんばんわ、ハリでございます。
今日はいつもと少し文体を変えまして、そしていつものようにマイナー漫画を紹介していきたいと思います。

さて今回はいつもよりは幾分、メジャーな漫画をセレクトしてみました。
業田良家の『自虐の詩』です。これ売れはしなかったし、今じゃ文庫版くらいしか見かけないという、なんというか、例によって不遇な漫画ですが、評価は高いんですよね。ちょっと漫画レビューサイトとか、ベスト100を選ぶサイトとかいくと、大体、褒められてる。好きな人が多いんですね。でもマイナーなんです。有名な話でこの作者がヤンマガのパーティーに顔だしたら社長に「まだ君は漫画描いてるのかい」と言われたことがあるそうです。まだ連載中にです。それくらいマイナーなんです。
その理由簡単です。地味なんですね、この人の漫画は。それでいながらずっとずっと読み進んでいくと最後に大きなカタルシスが待ってる。読み終わった時、大きな感動があるんです。そこなんです、人気は。だから『自虐の詩』といえば、凄く好きだという人と全く知らないって人と両極端なんですね。マイナーであり、同時にすっごく評価が高い。今回、紹介する漫画はそんな作品です。
幸江とイサオ、二人の中年男女がこの漫画の主人公です。地味ですね。この二人、同棲はしてるけど、結婚はしていない。幸江は食堂で給仕の仕事をしていて、イサオは毎日、家で酒を呑んで働きもしない。しかも幸江に暴力を振るう、なにかというとちゃぶ台をひっくり返す。このちゃぶ台をひっくり返すのが毎回のオチなんですね。あ、言い忘れましたが、この漫画、4コマ漫画です。つまり働かない男と幸薄い女の同棲生活の4コマ漫画なんです。売れそうにないですね。
さて、これは『自虐の詩』に限らず、業田良家の漫画の全編に言えることなんですが、この漫画、「幸江が何かを言う、イサオがそれに対してちゃぶ台をひっくり返す」という一連のパターンの繰り返しから始まるんです。常にネタは一つなんです。例えば『良家童話』だったら、「ステテコ姿の源さんが総理大臣になったら」というネタであり、『詩人ケン』であったら「無職のパンク詩人の日常」というネタのみで構成されているわけです。一つのネタの繰り返しなんです。
だから『自虐の詩』もしつこいくらい、繰り返し繰り返し、幸江とイサオの生活の4コマ漫画が続くです。繰り返し、これ大事です。業田良家って人は常に風呂敷は小さく広げるところから始まるんです。『良家童話』が最初、一発ネタの漫画だったのが、繰り返しされていくうちに日本でも有数のポリティカル漫画に発展してしまったようにですね、最初はそんな壮大な物語になるようには見えないんです。
『自虐の詩』も同様です。お約束ギャグが繰り返されていくうちに、幸江やイサオやそのまわりの人々がどんどんどんどん掘り下げられて描かれていくんです。彼らは何を考えているのか、どんな半生を過ごしてきたのか。そういう人物描写が、やはり繰り返し繰り返し行われてくんですね。そして最初は薄っぺらだった人物が次第に色濃く、そして切実にその姿を表していくんです。人間を描く。これがこの人の漫画の一番の魅力なんです。ありきたりな4コマギャグが繰り返されていくうちに、人間像が確率されていく。こんな4コマ漫画書いてる人、他にいませんね、キャラクター4コマ書いてる人、いっぱいいますけど、誰も業田良家のようには書きません、ある程度、読者とのなぁなぁの中で掘り下げるという作業を放棄してしまいます。業田良家はそれをしません。読者との関係とか忘れてひたすら掘り下げるんです。おかげでこの人の漫画は力がありながらも地味なんですね。延々と繰り返すだけですから。でも、その人、人、人を書く漫画、これが凄いんです。
『自虐の詩』地味ながら読んでみて下さい、きっと最終回泣いてしまいます。私、これ読むたびラスト泣いてしまいます。ものすごいカタルシスが身体包むんです。ああいい漫画読んだなぁって。最終回のはついに4コマ漫画の体裁が崩れてきます。4コマ目が落ちなくて、そのまま次の1コマに繋がってくようになります。でもこれが踏み越えなんです。繰り返されてきた積み重ねがついに4コマ漫画のリズムすら踏み越えてしまうんです、それが不自然じゃないんです。この素晴らしい幸江とイサオの話、是非読んで下さい。
はい、今日は業田良家の『自虐の詩』でした。
それではサイナラ、サイナラ、サイナラ。


(ハリジャンぴらの)
| ハリジャンひらの | 13:27 | comments(0) | trackbacks(0) |
ワイルド7 望月三起也
毎度、Naveです。ついにモモ氏もナカムラくんも参戦して、だんだんいいペースで更新してけるようになって参りましたな。不肖Webmasterとして嬉しい限りです。

さて、今回ボクが紹介するのは「ワイルド7」昭和44年から10年間に渡って書かれたバイオレンスポリス漫画です。この10年間で一応連載は終了しているのですが、ファンからの復活リクエストが後をたたず、「続ワイルド7」、「続新ワイルド7」といった続編が執筆され、今現在も「飛葉」という新作が伝説マガジン上で続行しているというお化け漫画です。
実はこの漫画、ちょっと前まで絶版で手に入れるのが難しい状況でした。今現在愛蔵版が復刊されているのですが、その前にも何度となく別の出版社から発行され、にも関わらず店頭からはすぐに姿を消し、やがて絶版になるという因果なサイクルを繰り返して来た歴史があるだけに、今ワイルドが気になっている方は即刻愛蔵版を揃えておく事をお勧めします。
かくいうボクもこの際に全巻を揃えておこうと思っているのですが、さすが10年以上の重み(物理的にも)本棚を占めるスペースが半端じゃありません。しかし揃えたくなる。それがワイルド7なのです。

さて、ストーリーの紹介に入りましょう。「悪を討つためには悪を以って制す」これをモットーに警察組織内に作られた無法者部隊「ワイルド7」 メンバーは全員札つきのワル。そんな7人が白バイ警官となり、法で裁き切れない悪党を成敗する勧善懲悪ヒーロー漫画です。
ヒーロー漫画というものは勧善懲悪であるがゆえにその爽快感である程度面白く見えるものではありますが、それだけでなくこの作品は劇画史において画期的な作品でした。その一例として、カメラワークで見せるという映画的手法を漫画に取り入れたこと。少年漫画に、はじめて複雑に絡み合うストーリーを組み入れたこと。そして、これは現在の視点から捉えた意見ではあるのですが、「おおらかな時代に描かれたために荒唐無稽、かつ天衣無縫なアンビバレンツ」が存在しうるということ。
とても現実的には有り得ないような設定・ストーリーでも、望月ワールドの中ではこうなんだろうなぁ、と思わされてしまう力が作品中に漲ってるんですね。設定をガチガチに固めて、リアルさを追求するきらいのある近年のアクション漫画にない魅力です。
かといって、そこまでファンタジーな設定なのかというとそうでもなく、しっかりとした世界観の中で、大量の伏線を張りつつきちんとお話は進行していきます。
伏線、そうこれがワイルド7を語る上で最も重要なキーワードなのかもしれません。一つの話の中で平行していくつもの場面が展開されていったり、ずっと以前に張られた伏線がまさに見せ場!というところで生きてきたり、とそのお約束とも言える気持ちよさには感嘆します。
しかし、この望月三起也という作家、いささか伏線を用意しすぎる傾向があるようで、作品中、「どう考えてもこれは伏線だろう」と提起された事柄について、その後ずっと言及すらされなかったりという事が平気であります。まぁ、そこも魅力といえないこともないのですが(笑)。

そんなお茶目なところもあるこの作品、巻数がやたら多いですが一度読み始めると止まらない、とにかく先が気になる名作です。もう一度言いますが、興味を持たれた方はこの機会に愛蔵版を揃えておく事をお勧めします。断固。


#最近購入漫画

・いきばた主夫ランブル 星里もちる ビームコミックス
 評価:10年以上前の作品にも関わらず、古臭さを感じさせないのはさすが。後のりびんぐゲームにも通じる「自己の居場所探し」描写が重くなりすぎず、気持ちよく読めます。

・少女少年(1) やぶうち優 てんとう虫コミックススペシャル
 評価:小学生の少年がひょんなことから女装してアイドルになってしまうオハナシ。偶像と現実のギャップや、淡い恋愛の葛藤などが見事に描写されています。買うの恥ずかしかった(´Д`)

・オーバーマン キングゲイナー (1)  富野 由悠季 (著), 中村 嘉宏 (イラスト) MFコミックス
 評価:キングゲイナー好きにも関わらず今まですっぽり買い忘れてたので購入。中村 嘉宏氏の圧倒的画力で描かれるエクソダス前夜。アニメ版とはまた違った魅力があってオススメです。

・鋼鉄の少女たち(1,2) しけたみがの, 手塚 一佳 角川コミックス・エース
 評価:戦乱の世、王国を守るために徴兵された少女戦車兵たちが敗走の一途を辿る戦線で悲惨な戦いを繰り広げるお話。戦車と銃と美少女・非常にエース桃組くさい漫画。女の子たちがヒドい目に合わされる様は戦争の現実を突きつけられたようで辛いです。が、そんな中でもタチムカウ登場人物達は健気です。見るべきところはいろいろとある作品のような。

・クーデルカ(1,2,3) 岩原 裕二 角川コミックス・エース
 評価:先日買った「いばらの王」がかなりよかったので既刊も集めてみようと購入。期待にそぐわぬ出来でした。えっと、これゲームのコミカライズなの? 自信を持ってオススメできる作品。

・ベイビーリーフ 二宮 ひかる ヤングキングコミックス
 評価:本屋でジャケ買いしました。内容はというと、中学生カップルの淡い恋、そしてセックス。思春期ゆえの悩み、そしてセックス。不器用なセックス、そして別れ。セックスばっかりか。寂しさゆえにセックスしちゃう孤独の悲しさとか、そんな感じです。軽い気持ちで読むとちょっとダメージ喰らいます。個人的な印象として、ヤサシイワタシ(ひぐちアサ アフタヌーンKC刊)に似た感じだなぁ、と思いました。こっちはもっとダメージ大きいですけど。暗いです。

(Nave)
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